「なまえ、赤也。何故お前たちは今、ここで正座させられているか解っているな?」
「『はい…』」

どうも、こんにちは。みょうじなまえです。何故私と赤也が部室の中で正座をさせられているかというと、事の発端は昨日の英語の授業になる。昨日の英語の授業は、この間やった小テストの返却及びその解説でありました。私はテストの事をすっかりと忘れ、ろくに勉強もせずに登校。そのテストの点数はほとほとひどいものだった。我がテニス部は何に対しても常勝を掲げており、学業においても負けは許されず、(あの、仁王やブン太でさえ、成績は良かったりする!)小テストも含むテストは毎回返されるたびに提出し、成績が悪ければ三強が見張る元で補習をさせられる。その時の幸村くんはちょうこわい!ただ、幸いうちのクラスの英語の担当の先生は他のテニス部のクラスを受け持っていないので内緒にしておけば小テストの存在がバレる事もなく、今回だけ、と思いながら黙っておくことにした。しかし、今日の放課後、私と赤也の二人だけの部室内で赤也も小テストがあったらしくその点数が散々だったと言われ、私もつい昨日返された小テストの事を話して二人で秘密にしておこうと誓いあった直後、柳くんが現れ、今に至ると言うわけです。


「お前達は昨日、英語の小テストが返却されたのにも関わらず、それを提出せずに点数が悪かった事を隠そうとした。そうだな?」
『はい、その通りです…』
「すんませんッス…」


柳くんは私達の話しを聞き問答無用でその場に正座させ、普段は閉じられた瞼をうっすらと開き見下ろされ、柳くんの開眼…こわい…!「小テストであれ、負けはいけないな。しかも嘘まで吐いて隠そうとするなんて」といつもより低いトーンで話すもんだからこれは相当お怒りだ。いつもは優しい柳くんがこんなに怒るなんて。どうしよう、こんな事なら正直に話して補習を受ければ良かった。ちらりと赤也の方を見ると私と同じ事を考えているのか、ふるふると体を震わせ怯えているようだった。


「俺が今、お前達に怒りを覚えているのは解るな」
『…はい、』
「…ッス」
「俺が今回怒っているのは小テストの点数が悪いからじゃない。お前達が俺達に嘘を吐いたからだ」
『ごめんなさい…!』
「ほんとすいませんッス!」


柳くんが怒るところを初めて見たのでかなり恐くて正直泣きそうだったけど、必死にこらえた。だってこれは自分が悪い、自業自得。泣く資格なんて私にはない。だから泣くまいと唇を噛み締めていたら、柳くんがすっと私の前に膝を付き、私の唇に触れて「傷付いてしまうぞ」と微笑んだ。


「何も俺はお前達が憎くてこんな事をしているのでは無い。むしろお前達が大切だからこその行為だ」
『本当にごめんなさい柳くん!』
「柳先輩、許してくださいッス!!」
「解ってくれればそれでいい。今日、部活後に補習を受けては貰うが、今回の嘘を吐いた事は精市と弦一郎には内密にしておいてやろう。二度目は無いぞ?」


そういって私達の頭を撫でて優しく微笑む柳くんはそれはもう神々しく輝いて見えて、まるで仏さまのようだった。私も赤也もその優しさに泣いた。二人でわんわん泣きながらごめんなさいを繰り返して柳くんに抱き付いたら柳くんはこれまた優しく背中をさすってくれたけど、その神々しい笑顔のまま放った一言で私達はまた地獄に突き落とされた。


「今度の補習は一週間みっちり受けてもらう」

(20130503)
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