やだやだやだ、意味わかんない。なんなのこの状況。ほんっと意味わかんない!どうして柳が私に今にも襲いかかるぞ、と言わんばかりに私を押し倒してるの!?私達別にそんな関係とかでは一切無いし、只のクラスメイトで、只の同じ部活の選手とマネージャーで、いつも私をからかってばかりの柳がどうしてこんな事するのなんなのほんともう!


「意味が解らない、とでも言いたそうだな、みょうじ」
『全くもってその通りだよ、柳。どういうつもり?またいつもみたいにからかってるつもりなら今回のは質が悪すぎるよ、どいて』
「それは出来ない相談だな。何故なら、今の俺がお前を押し倒しているのはからかっている訳でもなく、冗談のつもりでも無いからだ」


そう言って柳は私の腕を掴む手に少しだけ力を入れた。あれは今から10分ほど前、私はいつも通り部活が終わった後、部室で一人残って部誌を書いていた。いつもは皆で一緒に帰るけど、各々用事があるらしく一旦別れて校門で集合することにした。そして部誌を書き終え、帰りの準備をしようと立ち上がった時、柳が帰って来て少し他愛もない話をしていたらいきなり私を床に押し倒したのだ。


『柳は無理矢理女の子を襲う人じゃないよね』
「あぁ、そんなつもりは全くない」
『それなら尚更わけかんないよ』
「ほう、それは何に対して訳が解らないと?俺が今、お前を押し倒していることか?それともこの状況でお前を襲わないということにか?」
『どっちもだ、馬鹿』
「これはお前への戦線布告だ。俺はお前がずっと好きだった。1年の時からだ。しかし、みょうじ、お前は俺がどれだけ恋慕を重ねても気付く事なくいる。俺は痺れを切らしてしまったようだ。」
『え、えっ!?』
「これからはもうお前への好意を隠したりはしない。好きだと口にもするし、行動にも示す。覚悟する事だな、みょうじ」
『ちょ、やな、ぎ…』


私を組み敷いている柳はそのまま私の顔へ自分のそれを近づけてその酷く整った顔をいつも私をからかうように意地悪く歪ませて、「覚悟していることだな、まずは…」と、囁いた。直後、部室のドアが勢い良く開かれてドアの方を見ると恐らく私を迎えに来たのであろう皆が口々に邪魔をした、と気まずそうに出ていってしまった。しまった!再び柳の方を見れば柳はようやく私を解放し、クスクスと笑いながらこう口にした。


「まずは既成事実だ」

(20134011)
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