日吉どこにいんだろ?日吉が大体居そうなところは探したつもりだけど、どこにもいない。テニスコートにも部室にも中庭にも食堂にも図書館にも。あと日吉が行きそうなところっていうと…屋上?もいったけど居なかった。もしや怪我でもしたかと保健室に行ってみても外れ。携帯にも出ないしほんとどこほっつき歩いてんだあのドラ息子。(もちろん息子ではない)


なんで私が日吉を求めて三千里しているかというと、事の発端はそう、文化祭で体育館にて行われる、芸術発表会でクラスの出し物として発表する讃美歌。これの練習をクラスでしているのだが、その練習に日吉が居ない。日吉は普段クラスメイトと和気藹々と過ごすタイプじゃないけど、クラスの輪を自分から乱すようなこともしない。(ぶつくさ私に文句言ったりするけどそれは親しい仲だから)だから練習の時間に日吉が居ないのはすこし変。なにか用事があって遅れてるのか、はたまたすっかり忘れて部活にでも行ったかと思い色々探してはみてるけど、ほんとに居ない。てか、この広い氷帝で一人を探すのって割とムリゲーでは?そんな事を考えながら私は一人とぼとぼ校舎を歩く。でも探してきてって言われた手前、手ぶらで教室戻るのもなんだかぁと思いつつふと気が付くと普段は使われていない、空き教室の中から私たちがまさに練習してるグロリアの伴奏と、聞きなれた声。いや、あいつは歌うと普段より声が少し高くなるから、聞きなれたいつもの声ではないかな。窓から気づかれないように覗いてみると、やっぱり。鳳くんのキーボードの伴奏に合わせて日吉が練習をしている。


日吉は歌うのが苦手だと前に言ってたから、それで練習しているのだろう。めんどくさいだのなんだの言っておきながらこうやって陰ながらに努力をしてそれを人には見せない。ほんとにこいつはかっこいい奴だな、でもクラスでの練習忘れてんぞ。と思いながら私は優しい音色と歌声のする教室のドアを控えめに開けた。


(おーい日吉、クラス練習始まってるよ)
(みょうじ!!なんでお前が…!)
(日吉を探しに来てくれたんじゃないかな?)
(そういうこと。早く教室いこー?)


(20161019)
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