01
辺り一面が無機質で幻想的な空間に、1人の少女と椅子に座った老人がいた。
『本当によろしいのですね?』
少女が椅子に座る老人を見上げながら問う。
「構わん、あれの使命を全うさせるためだ」
『……向かう前に1つ、よろしいですか?』
「………なんじゃ」
『もしも"一部の記憶を無くした私が"、あなたと再び会ったとしても…今の私とは、考えが違っているかもしれません。』
「…………」
『どうなるかは私にもわかりませんし、きっと自分の意志は曲げません。
だって私は……
心を司る精霊、ヴェリウスなんですから。』
そう言い放った少女は目の前の老人に笑いかけると
『では…行ってきますね。
マクスウェル様。』
そう言い残し、その場から少女は消え失せた。
「……その時はその時じゃ……」
その場に残された老人は少女が消えた場所を見続け、静かにつぶやいた。
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