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辺り一面が無機質で幻想的な空間に、1人の少女と椅子に座った老人がいた。



『本当によろしいのですね?』


少女が椅子に座る老人を見上げながら問う。


「構わん、あれの使命を全うさせるためだ」


『……向かう前に1つ、よろしいですか?』


「………なんじゃ」


『もしも"一部の記憶を無くした私が"、あなたと再び会ったとしても…今の私とは、考えが違っているかもしれません。』


「…………」


『どうなるかは私にもわかりませんし、きっと自分の意志は曲げません。




  だって私は……





心を司る精霊、ヴェリウスなんですから。』





そう言い放った少女は目の前の老人に笑いかけると


『では…行ってきますね。



   マクスウェル様。』



そう言い残し、その場から少女は消え失せた。







「……その時はその時じゃ……」


その場に残された老人は少女が消えた場所を見続け、静かにつぶやいた。


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