02



船に揺られて数日後、ようやくイラート海停に着いた

「ここがア・ジュール…あんまり変わらないね」

「ま、ア・ジュールっつってもこの辺りはな」


「へぇ……あ、地図があるみたい、見てくるね」


そう言って地図の場所へ走っていくジュードの姿はどう見ても無理に振る舞っているみたいだった


「気持ちを切り替えたのか、見た目ほど幼くはないようだな」

「おたくらが巻き込んだんだろ?随分他人事だな」

「確かに世話になったが、あれは本人の意志だぞ?
私は再三帰れといったのに」

『そういえば私、なんでミラとジュードが一緒にいたのか知らないや』

「へー、そうなのか?」

『その時はミラと別行動してたから。
ジュードはあの時、何か用事があったみたいだけど…』


そう言うと私はミラ達から離れ、一人地図を見ていたジュードに近寄った


『何か見つけた?』

「あ、リスィさん…えと…なにも」

『さんづけはしないでくれたらうれしいな』

「えと…リスィ…?」

『そうそう』


地図の貼ってある掲示板の前で話しているとミラが隣まで歩いてきた


「ここから北…か」

『歩きだから結構かかるんじゃないかな』

「それで?すぐに発つのか?」


掲示板とにらめっこしていた私達に近づいてきたアルヴィンが尋ねてくる


「いや……アルヴィン、傭兵というからには剣の腕には自信があるのだろう?」

「ああ、そりゃあな。」

「私に剣の手解きをしてくれないか?」

『ミラ?』

「リスィ、今の私は四大の力を持たない。剣を扱えねばこの先困難になる」

「四大?…よくわかんねぇけど、正直俺を雇って欲しいくらいだよ。
けど金ないんじゃな」

「無理…だろうか」

『お金……か』


ふとある事を思い出して私は懐からある物を取り出した


『ねぇ、ジュード。ヴェリウス鉱石って知ってる?』

「え…知ってるけど今は殆ど見つからないっていう幻の鉱石の事でしょ?」

『うん、それ。今ってどのくらいの価値なのかなって』

「ヴェリウス鉱石っつったらコレクターの間でも相当な額で取引されてるって聞いたぞ?」


アルヴィンの言う通りなら今の価値はだいぶ高いらしい。
たぶんこれでお金は払える…と思う


「だけど今は出回ってすらいないんじゃ…」

『大丈夫だよ、ほら』


手に前にだして持っていた物をアルヴィンに見せる


「これって…?」

『ヴェリウス鉱石だよ。ほらちゃんと色変わるから』

そういってジュード、ミラ、アルヴィンの順に鉱石を回していくと薄い水色、橙、灰と色を変えていく


「本物かよ…いったいどこで手に入れたんだよこれ」

『手に入れたもなにも、私の石だし…
これで、ミラに剣教えてもらえる?』

「ああ、むしろ釣りがでるくらいだ」

『よかったね!ミラ』

「ああ、助かったぞリスィ」

「じゃあ僕は宿屋見てくるね」

『あ、なら、私もいこうかな』

後でねと一旦ミラとアルヴィンと別れてジュードと宿屋へむかった



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