1年間だけの恋@J視点

2011/12/01 09:20


※注意書き
ゲーム内でもなく現パロでもないよくわからない設定
暗殺組織に所属してるアルヴィン(26)と
癒しと破壊の能力を持ってるジュード(15)
な設定です。
一応シリーズもの
それでもいい方はどうぞ





















幼い頃たまたま使う事ができた癒しの力ー
その噂を聞いた学者や王族達は嫌がる僕を無理矢理研究所へ連れていった。

「いやだっ…やめて!…おうちに…帰して…!」

ほぼ毎日繰り返される実験、言うことを聞かないと振られる暴力…様々な実験をやらされて癒しの反対の破壊の力を目覚めさせられた。

「やだ……やめっ、…やめてぇ…!」

しまいには実戦だと無理矢理自分の力を使われて故郷を破壊し、両親や街の人達を殺してしまった。

「…ぁ…あぁ、…ぃゃ…」

当時わずか5歳だった僕は、それらに耐えられる程強くなかった。



―1年間だけの恋―





「――……っ!!?」

昔の夢を見て飛び起きる僕。
昔の夢を見ると目覚めはいつも最悪だった





山の麓にある街、僕がこの街に閉じ込められてからもう10年経つ。
今はもう周りに昔から僕を知る人はいなくてずっと独りぼっちだった

淋しさを紛らわす為に街を歩いたけど僕に向けられる目線は冷たい。
最初の頃はそれがすごく怖くて、街に出ないで小屋から1歩も出ない時もあった


今はもう、少しは慣れたけど


そんな考え事をしていると1人の子供が僕にぶつかってきた。

「ぁ、…大丈夫…?」

ぶつかって尻餅をつく子供に、僕は手を差し伸べるけど

「何してるの!早く来なさい!」

その手が触れる前に母親らしき人物が子供を立たせて急いで僕から離れる

「…………」

「近づいちゃダメって言ってるでしょ!」

僕を見ながら母親が聞こえるような大声で子供を叱る。

「(…立たせて、あげることも出来ないんだ…)」

触れられなかった手と親子を見て僕はそのまま村の奥の小屋へと走る。

ただここにいたくなかった

だから僕の後を追う人影にも気付けなかった




走って小屋の中へ入るとベットの上に座る。街で何かあるといつもこうしている
膝を抱え込んで先ほどの親子を思い出す

「(あの子…怪我してなかったかな…)」

拒絶されるのには慣れた、はずなのに…

「(ずっと、僕は…独りぼっち)」

ぐるぐると思考を埋め尽くす淋しいという感情
なぜか涙が溢れてきて体が僅かに震える

「(いつまで…僕は…ここに、いるのかな…)」

そんな事を考えているといきなり後ろから声をかけられる

「…おい、…どうしたんだ?」

「…っ!?」

いきなり声をかけられびっくりして、大袈裟なほど体を揺らして振り返ると男の人が立っていた。

「………」

「…あ、の…どなた、ですか?」

「…あ…えっ、と…」

街でも見たことがない男の人―でも言葉に詰まる彼を見て

「(ー…きっとこの人もそのうちみんなと同じ目で僕を見るんだ)
……僕に、近づかない方が、いいですよ…」

そう言って男の人に背を向けてまた足を抱え込む

目を固く瞑った時脳裏に映ったのは昔の自分だった
目の前のモニターで崩れていく故郷をただ見ていた僕
思い出して余計に震えが酷くなった気がした。
そんな時、黙っていた男の人がまた声をかけてくる

「なぁ…おまえ名前は?」

「…え……」

名前を聞かれたのは初めてだ
研究所にいた時は物のように扱われ、街の人からは化け物を見るような目で見られた

「だから名前。俺はアルヴィンだ」

「………ジュード…」

「そうか。…なぁジュード」

名前を呼ばれるのも久しぶりで
少し話さないか?と言われ涙に濡れた目を大きく見開いて頭上にいる彼を見上げる
彼はなぜか複雑な顔をしていたけど久しぶりに名前を呼ばれ、話し掛けてもらえたのが嬉しくて
悲しい涙じゃなくて初めて嬉しい涙を流した気がする
そのまま彼と他愛ない会話をし続ける。

「おたく…ジュードはさ、いつからここにいるんだ?」

「5歳くらい、の時からいるから…10年くらい…かな」

「5歳から?!両親とかはどうしたんだよ」

「両親、…は…」

アルヴィンを見上げていた顔を下げて俯く

「…あー、わりぃ…嫌な事聞いたみたいだな」

「ううん…両親はね、死んじゃったんだ」

「…………」

「いや、僕が…殺したも同然…なんだ…」

「ジュード…?」

僕は俯いたまま震えだした体を抱えて話しを続ける
脳裏によぎるのは無理矢理力を使われ故郷を破壊した時の事ー

「嫌だって言ってもやめさせてくれなかった、あんな事…したく、なかったのに…!」

「おい、ジュード!」

尋常じゃない怯えをする僕の肩にアルヴィンが手を置くけどいっこうに震えはおさまらない

「…ゃだ、…やめて……家にっ…」



「…家に、帰して…!」



パンクしそうな頭を抱えて悲痛な声をあげる


「…ジュード……」

泣いて震える僕の体をアルヴィンは引き寄せて抱き締める
その腕の中は暖かくて

「ひくっ…ぅ…お父さん…お母さんっ…僕…もう、独りぼっちは、いやだよ…」

「…俺が……俺が傍にいてやる」

「…ぇ……?」

「…そしたら…もう独りぼっちじゃないだろ?」

上から聞こえるアルヴィンの声に嬉しさが込み上げるけど

「…ぅ…ん…でも…」

「ん?」

「…あるびんは、…いいの?一緒にいても…」

僕と一緒にいると何を言われるか、それを考えると人と一緒いるのを諦めるようになっていた

「大丈夫だよ」

でもアルヴィンの答えにそんな考えはもうなくなっていて

「そ、っか…ありがとう…ある、びん…」


安心してそのまま目を閉じる
そういえば誰かと寝るのも久しぶりだった…





―次の日―



「…んぅ…(あれ…あったかい…?)…ぇ………うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

起きたら目の前にアルヴィンの顔があってびっくりして大声を出してしまった

「…ん?…まだ寝てようぜ…」

「な、な、なんで、アルヴィンが一緒に寝てるの!?」

「傍にいてやるって言っただろ?」

寝呆けた顔で狼狽える僕を見て薄く笑ってるアルヴィン

「そうだけどっ、どうして僕、抱きしめられてるの」

「ちょうどいいサイズだからな…」

そう言って眠いのかそのまま目を閉じるアルヴィン

「なっ!…あ、ちょっと…寝ないでってばっ!」


その後何回も起こそうと声をかけて、アルヴィンがようやく起き上がったのはそれから1時間後だった




「何むくれてるんだジュード」

「別に…なんでもないよ」

「ちっちゃいって言ったのまだ怒ってるのか」

「僕だって、少しは…気にしてるんだから…」

確かに僕は年齢のわりには華奢な方だけど…

「てか、おたくちゃんとご飯食べてんの?」

「(そう言われてみると…)
…果物なら…」

「おいおい、街には買いにいかないのか?」

「…僕が行くと…みんなが…嫌な思い、するから…」

三角座りをして顔を足に埋める。
最初の頃はそんな事あまりなかったけど今は…

「……はぁ…ジュード」

「…?」

「これからは俺が買ってきてやるから」

「えっ?…悪いよ…そんなの…」

「俺がしたいって言ってんだからいいだろ?」

しり込みしているとアルヴィン近づいてきて視線を合わせてくる

「…じ、じゃあ…お願い、します…」

誰かと目を合わせるのもあまりしたことがなくて、少し顔を赤くして視線を外しながら了承する

「任せておけよ。…あ、そうそう」

「なに?」

「俺もここに住むから、よろしくなジュード」

「ぇ………えぇぇぇえ!?」

驚く僕の声を聞き流しながらアルヴィンはそのまま小屋を出て街へと向かった。





「こんな風に話し掛けてもらえたのは初めてだった」

「だから、この人を知りたいって思ったんだ」



続く






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