1年間だけの恋@A視点

2011/12/01 09:12


※注意書き
ゲーム内でもなく現パロでもないよくわからない設定
暗殺組織に所属してるアルヴィン(26)と
癒しと破壊の能力を持ってるジュード(15)
な設定です。
一応シリーズもの
それでもいい方はどうぞ




















いつものように暗い路地裏で連絡役と仕事の内容を確認する

相手が写真のようなものを出し渡してくる。これが――

「今回のターゲットはこいつか?」

「ああ、そうだよ」

「こんなガキがターゲットとはねぇ…」

「油断はしないでよ?この子、街1つ滅ぼせるらしいから」

「へぇ…」



最初は興味もなければ何も感じなかった
ただこのガキを殺せば仕事は終わる、それくらいだった


だがあいつ――ジュードに会った時から何かが崩れ始めた



ー1年間だけの恋―





山の麓になるそれなりに栄えている街、ここに例のガキがいるらしい。

「さてと、まずは見つけないとな…」

一通り辺りを見回すが目的の人物らしき人は見当たらない

「街の中回ってみるか…」

と歩きだした時少し離れたところにいる少年を見つけた

「(いた…)」

気配を消し、気付かれないように少年に近寄るがその前に1人の子供が少年とぶつかった

「ぁ、…大丈夫…?」

ぶつかって尻餅をつく子供に少年は手を差し伸べるが

「何してるの!早く来なさい!」

少年の手が触れる前に子供の母親らしき人物が子供を立たせて急いで少年から離れる

「…………」

「近づいちゃダメって言ってるでしょ!」

少年を見ながら母親が聞こえるような大声で子供を叱る。
触れられなかった自分の手と親子を見て少し悲しげなな表情をする少年はそのまま村の奥へと走り去っていく。

「ふーん……」

走り去っていく少年の背中を見届け、少し遅れてから歩いて後を追う

「さて…さっさと終わらせるか」




大通りから少し離れた小さな小屋に入っていく少年。
俺は音を立てないよう気を付けながら小屋に近寄ると中を覗く
少年はこちらに背を向けベットの上に体育座りで座っていた。

「(今なら…やれるな)」

手に持った銃を確認して小屋の入り口から音もなく中へと入る自分に慣れたものだと自重の笑みを浮かべる。
そのまま音もなく少年の背後に立ち銃を向けようとした時少年の肩が震えているのに気付いた。

「…おい、…どうしたんだ?」

「…っ!?」

いきなり声をかけられ大袈裟なほど体を揺らして振り返る少年の目には大粒の涙が溢れていた。

「………」

「…あ、の…どなた、ですか?」

「…あ…えっ、と…」

何してんだ俺なんて考えながら返事をしようとするが上手く言葉が出ない。

「……僕に、近づかない方が、いいですよ…」

そう言ってまた背を向けて蹲る少年
何かを思い出しているのか今だに小刻みに震えている背中。
その姿を見ているうちに何をしに来たのかも忘れて握っていた銃をしまい少年に話し掛ける

「なぁ…おまえ名前は?」

「…え……」

「だから名前。俺はアルヴィンだ」

「………ジュード…」

「そうか。…なぁジュード」

少し話さないか?と聞けば涙に濡れた目を大きく見開いて俺を見上げる少年―もといジュード。


なぜ俺はこんなことをしているのか、なぜジュードを放っておくことが出来ないのか何もわからなかったが、今は目の前の少年をどうにか泣き止ませたかったのかもしれない。

「(どうせいつかは殺さなければいけないのに…)」

そう思いつつも未だ涙を流し続ける少年と他愛ない会話をする。

「おたく…ジュードはさ、いつからここにいるんだ?」

「5歳くらい、の時からいるから…10年くらい…かな」

「5歳から?!両親とかはどうしたんだよ」

「両親、…は…」

見上げていた顔を下げて俯きながら答えるジュード

「…あー、わりぃ…嫌な事聞いたみたいだな」

「ううん…両親はね、死んじゃったんだ」

「…………」

「いや、僕が…殺したも同然…なんだ…」

「ジュード…?」

俯いたまま震えだし自分自身を抱えるようにしながらジュードは話し続ける

「嫌だって言ってもやめさせてくれなかった、あんな事…したく、なかったのに…!」

「おい、ジュード!」

尋常じゃない怯えに落ち着かせようとジュードの肩に手を置くがいっこうに震えはおさまらない

「…ゃだ、…やめて……家にっ…」



「…家に、帰して…!」



頭を抱えて悲痛な声をあげるジュードを見ていられなくて、


「…ジュード……」

泣いて震えている体を自分に引き寄せて抱き締める

「ひくっ…ぅ…お父さん…お母さんっ…僕…もう、独りぼっちは、いやだよ…」

「…俺が……俺が傍にいてやる」

「…ぇ……?」

「…そしたら…もう独りぼっちじゃないだろ?」

俺は何を言っているんだろう…

「…ぅ…ん…でも…」

「ん?」

「…あるびんは、…いいの?一緒にいても…」

「大丈夫だよ」

大丈夫なワケないが泣き腫らした顔で見上げるジュードに気が付けばそう答えていた

「そ、っか…ありがとう…ある、びん…」


安心したのかそのまま目を閉じるジュード


「ジュード?……寝ちまったか」

「すぅ…すぅ…」

「傍にいてやる、か…俺、なんでそんなこと言ったんだろ…(こいつの事殺しに来たってのに…)」

「しかし、俺も眠くなってきたな…寝るか」

だけどあたりを見回してもベッド以外に寝れそうな場所はなく

「このベッド、広いから2人寝ても大丈夫だろ(それにこいつ、小さいし)」

そのままジュードを抱えてベッドへと寝転んだ





―次の日―



「…んぅ…ぇ………うわあぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

ジュードの大声で目が覚めた

「…ん?…まだ寝てようぜ…」

「な、な、なんで、アルヴィンが一緒に寝てるの!?」

「傍にいてやるって言っただろ?」

寝起きの頭はぼんやりとしていて上手く働かないが狼狽えるジュードを薄く笑って眺める

「そうだけどっ、どうして僕、抱きしめられてるの」

「ちょうどいいサイズだからな…」

そう答えつつ重くなる瞼に逆らわずそのまま目を閉じる

「なっ!…あ、ちょっと…寝ないでってばっ!」


その後何回も起こしてくるジュードに俺がようやく起き上がったのはそれから1時間後だった




「何むくれてるんだジュード」

「別に…なんでもないよ」

「ちっちゃいって言ったのまだ怒ってるのか」

「僕だって、少しは…気にしてるんだから…」

相変わらずむくれているジュードを見てふと思う

「(こいつ…ちっちゃい上に細くないか…?)
てか、おたくちゃんとご飯食べてんの?」

「…果物なら…」

「おいおい、街には買いにいかないのか?」

「…僕が行くと…みんなが…嫌な思い、するから…」

三角座りをして顔を足に埋めるジュード

「……はぁ…ジュード」

「…?」

「これからは俺が買ってきてやるから」

「えっ?…悪いよ…そんなの…」

「俺がしたいって言ってんだからいいだろ?」

しり込みするジュードに近づいて視線を合わすと

「…じ、じゃあ…お願い、します…」

少し顔を赤くして視線を外しながら了承する

「任せておけよ。…あ、そうそう」

「なに?」

「俺もここに住むから、よろしくなジュード」

「ぇ………えぇぇぇえ!?」

驚くジュードの声を肯定とみなしてそのまま小屋を出て俺は街へと向かった。





「俺はいったい何をしに来てんだか…」

「けど知れば知るほど、こいつが気になって仕方がない」



続く






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