たまには休息も
2013/10/10 11:55
まぶしい光が視界を照らして目が覚める。目を閉じたまま隣にあるはずのぬくもりを手で探しても目当てのぬくもりを見つけられず、目を開いて確認すると隣には昨日までいたはずのアルヴィンの姿がなかった。
目を擦りながら起き上ると昨日眠るまでの部屋と何一つ変わらないが、そこにアルヴィンだけがいなかった。
休みだと言っていたが急な仕事でも入ったのだろうか、などと思いながらベッドから降りてリビングへと続いているドアに手をかけようとした瞬間、触れていないドアが開いて驚いたような顔のアルヴィンが入ってくる。
「お、起きてたのか?」
「え……アルヴィン、なにして……?」
「いつもジュードにしてもらってばっかりだから、今日くらいは俺が一日家の事やろうと思ってな」
昨日も遅かっただろ?と頬に触れる手にすり寄ると目を閉じる。そんな僕に小さく笑うアルヴィンの声が聞こえて目を開いた。
「そんなわけで、今日一日はゆっくりしてくれよ。朝飯出来てるから食おうぜ」
「うん、ありがとう」
笑顔でそう言うとアルヴィンも笑って頷いた。
******
アルヴィンが作ってくれた朝食を食べ終わると二人でソファに座ってテレビを見ていると不意にアルヴィンが肩に手を回して僕の身体ごと抱き寄せてきた。
「アルヴィン……?」
これと言って拒む理由もないからされるがままにしていると、そのまま抱き上げられてアルヴィンの膝の上に座る。
「どうしたの?」
お腹に回されている手に自分の手を重ねると、アルヴィンは僕の肩に顔を乗せてくる。左手をまだアルヴィンの手に重ねたまま右手でアルヴィンの頭を撫でると、気持ちよさそうに目をつぶるアルヴィンに思わず笑みがこぼれた。
「なんだかアルヴィン犬みたい」
「そうか?ジュードは猫だもんなぁ」
そう言いながら僕の頭を撫でるアルヴィンの手がくすぐったくて、少しアルヴィンへとすり寄った。
やっぱり猫だななんて言う彼の腕の中が心地よくて少しずつ意識が微睡んでくる。
「昼寝でもするか?」
返事ができるほど意識がはっきりしていなくて頷いて寄り掛かると、アルヴィンは苦笑をもらしつつ僕を抱き上げた。
少しして寝室のベッドに降ろされるとアルヴィンも横に寝転がって僕を抱きしめてくる。
「(そうだ……眠る前に、アルヴィンに言わなきゃ)」
頭を優しく撫でてくるアルヴィンに眠気と戦いながら口を開く。
「アルヴィン、ありがと……だいすき」
そこまでいって眠気に勝てずそのまま目を閉じた。
だから僕は知らない。アルヴィンが顔を真っ赤にしたまま固まっていた事を。
END
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