拍手連載9話
2013/03/11 09:58
ようやく保険室へとつれて帰りベッドへ横にさせると熱が上がったのか真っ赤な顔をして苦しそうに息をしていた
「無理して動くから…」
そう言って冷えたタオルを額に乗せて先ほど見つけた腕の傷を診ようと袖をまくり包帯をゆっくりとはずしていき、やがてすべて取り去ると現れたのは瘡蓋にもなっていない生々しい傷跡。
最低限の治療しかしてないであろうその傷を見て顔を顰める。
「なんでこんなになるまで…」
そう呟いても眠っているジュードには届かず、そのまま黙々と手当てを続ける。処置が終わって包帯を巻き直し終わり、温まってきたタオルを変えた時ジュードが小さな呻き声を上げた。
「ぅ…」
「目、覚めたか…?」
「ぁ…れ…?」
「また倒れたんだよ。熱もまだあるから今日はここで寝てろ」
熱で意識がはっきりしていないのか少し虚ろな目が俺を視界に入れると
「ある…にいちゃ…?」
「……え?」
子供のころのような舌足らずな声に反応が遅れる.
そんな俺に気づく様子もなく不思議そうな顔で問いかける。
「どうして?かえっちゃったんじゃないの…?」
「あー…」
なんて答えたらいいのかわからず黙っているとジュードの口が何かを言いかけて閉じる。それを見ると自然に昔のように頭を撫でて言い聞かせるように口を開く
「たまたま近くに来たから寄ったんだけど、熱出てたから看病してたんだ。ほら、もう寝ちまえ、そばにいてやるから」
「ぅ、ん…」
ありがと、そう言って目を閉じたジュードから寝息が聞こえるまで俺は握った手を離さなかった。
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