不思議の国のジュード*

2013/03/01 23:22


これはツイッターで仲良くしていただいているariaさんとのリレーで書かせていただきました!
R-18描写がありますのでご注意です!






旅の最中、ガイアスと戦いに行く前になにかやり忘れた事はないかとリーゼ・マクシアに戻って来てすぐのこと。
降り立った場所が近かったためかニ・アケリアの様子が気になるとミラが言いだし、ジュードたちはニ・アケリアを訪れていました。
ニ・アケリアはミュゼの襲撃以来人がほとんどいなくなってしまっていたが、ニ・ アケリアについてまもなくミラが自由行動にすると言って村の中へ歩いて行ってしまい、それに続いてみんなが散った後どうしようかと考えていた時、僕の視界にソレは入ってきた。

「エリー…!?」

いや、そんな訳ない。エリーゼはレイアと一緒に散歩に出かけたはず…とジュードは首を振ります。
けれど、振り向いて微笑んだ顔はやっぱりエリーゼで。彼女は村の外へと駆け出していきました。

「エリーゼ!ひとりじゃ危ないよ!」

慌ててジュードがエリーゼを追いかけて行くと村の外の穴のそばでうろうろとしていて、そんなエリーゼに危ないと声をかけようとした瞬間、エリーゼは穴の中へ落ちてしまいした。

「エリーゼ!!」

ジュードはすぐさまエリーゼの後を追って穴の中へと落ちます。底が見えないほど深い穴でした。いつまで落ちるのか、どこまで落ちるのか、大体こんな高さから落ちて大丈夫なのか?色々と不安に思い始めた頃、ふわりと身体が浮きました。
落下するスピードが弱まって、衝撃もなく着地します。

「今の…精霊術…?にしては、魔方陣も見つからないけど…」

周りを見渡しても薄暗く、先に降りたはずのエリーゼは見当たりません。

「どこに行っちゃったんだろう…」

エリーゼを探して歩いていると目の前を急ぐようにエリーゼが走っていきます

「急がなくちゃ、女王に首、切られちゃいます!」

「首を切られる!?」

エリーゼの口から聞いたぶっそうな言葉にジュードは驚きます。

「待って!エリーゼ!」

慌てて追いかけますが、すぐにエリーゼの姿は見えなくなってしまいました。

「…っていうかエリーゼ、うさみみのアタッチメント、装備中だったっけ…?」

ふと疑問に思ったけれど急いで追いかけないと また見失ってしまいそうで、考えた事を頭の隅に追いやってすぐにエリーゼを追いかけます。

「エリーゼ、どうしたんだろう…?」

そのまま追いかけていくとやがてどこかの部屋にでました。
そのまま外に出て「エリーゼ!」と名前を呼んでみますが、もちろん返事はありません。

「どうしよう…」

ジュードが途方に暮れたとき、後ろから声がしました。
「何かお困りかい?」聞き覚えの有りすぎるその声に、ジュードは振り向きます。
振り向いた先にいたのはやはりアルヴィンだったが、いつもの彼とは少し違っていた。 頭には紫色をした猫…のような獣耳。
飄々とした態度は変わらないがやはり、いつもの彼ではない。

「アル、ヴィン……?」

「へぇ…俺の名前を知ってんの?」

「何言ってるのさ、一緒に旅してるじゃない」

「俺はいつもひとりだから、誰かとつるんだことないけど?」

そう言うと、彼はいつもの仕草でジュードの肩に手を回す。

「それはそうと、何に困っているのかな?青少年」

その仕草や言葉はやっぱり彼なのに彼は僕を知らないらしい。 素直に言うべきか迷ったけれど正直に話すことにした。

「えと、エリーゼを追ってきたんだけど見失っちゃって…どこに行ったか知ってる…?」

「エリーゼ…?ああ、女王のところのウサギか」

「知ってるの!?」

「っていうか、女王に関わるとロクなことがないぜ?止めるなら今だ」

そうにやりとアルヴィンが笑います。それと一緒にしっぽがゆらりと揺れました。まるで、ジュードのことを面白がっているかのように

「でもエリーゼを見つけないと…」

そう言ったジュードにアルヴィンは小さく溜め息をつきます。

「せっかく、忠告してやったってのに…じゃあ見つかるまでついてってやるよ」

「え?」

「向こうに行くと、人がいるぜ?」

そのアルヴィンの言葉に、ジュードは歩きだします。ニヤニヤ笑うアルヴィンが後ろからついてきました。

「ねぇ…アルヴィン。その頭の耳…何なの?」

「耳だろ?」

「や、そうじゃなくて…」

「俺はチシャ猫だから、ついてて当然だろ?」

「チシャ猫……?アルヴィンが?」

「そ、気まぐれなんだぜ?」

「そうなの?アルヴィンが?なんか…」

「似合わないってか?」

「べ、別にそんなわけじゃ…」

「わかってるよ、ちょっとからかっただけだって」

そう話しているとやがて遠くに誰かの家を見つけました。近づいてみると少し大きい家のようで小さ目ながら庭もついているように見えます

「すみませーん!」

家のドアをノックしてみても、誰の返事もありません。

「誰もいないみたいだね」

「本当に?」

ニヤニヤ笑うチシャ猫アルヴィンは普通のアルヴィンよりもいじわるです。

「だって返事がないよ?」

むっとしてジュードが言い返すと、少し離れたところから声がしました。

「ちょっと待っててー!今忙しくてー!!」

聞こえた声に耳を疑った。聞き覚えがありすぎる声に辺りを見回す。

「どうしたよ?」

「いや、今の声って…」

「あぁ、ここに住んでるやつだろ?」

元気のいい、女の子の声。まさかと思いますが、エリーゼやアルヴィンが存在している以上、ないとは言えません。むしろある可能性の方が高いのです。

「…レイア?」

「へー、よく知ってんな」

アルヴィンがニヤニヤ笑います。まさかと呟いた名前にアルヴィンは反応しました。

「(やっぱり……)」

そう思っていると、誰かが走ってくる音がして振り向くと1人の少女が元気よくこちらへ走ってくるのが見えた。

「おまたせー!!お、チシャヴィン君!久しぶり!」

「その呼び方すんなよ」

楽しそうにアルヴィンの肩をばんばんと叩くレイアと苦笑するアルヴィンの姿に、ジュードは胸が苦しくなります。だってこんな光景は、自分が元いた場所では、今は見られないものだからです。

「ん?こっちの子は誰?…まさかチシャヴィン君の隠し子とか!?」

「んな年齢じゃねーよ、こら」

「いったー!叩くことないじゃない」

向こうでは見られない2人の掛け合い。そんな光景はほほえましく見えるけれどやはり胸が少し苦しい。

「僕は、ジュードだよ。えっと…レイア、だよね?こんなところで何してるの?」

「あ!そうそう!お茶会だよ。帽子屋とお茶会してるの!よかったら一緒にどう?」

レイアは元気に手を叩きます。どうやらお茶会に参加するしかないようです。

「えと、じゃあお邪魔させてもらおうかな」

「ほんと?!やったぁ、早く行こ行こ!」

「お嬢ちゃんはほんと元気だな」

「チシャヴィン君も仕方ないからおいでよ」

「仕方ないってなんだよ」

そんな会話を続け庭に向かうと帽子をかぶった人がお茶を注いでいました。
その姿を見て、ジュードは固まります。

「ガイアス?!」

そこにはこれから倒しに行くべき相手が優雅にティータイムを楽しんでいる姿がありました。

「誰だ?」

「ジュードって言うんだって。チシャヴィン君が連れてきてたから、お茶会に誘ったの」

「ほう、見ない顔だが…まぁいい、せっかくだ俺の茶でも飲んでいけ」

「はぁ…」

自分の知っているガイアスとの違いに驚きつつもジュードは空いている席に座ります。アルヴィンも隣へと座りました。その前にお茶が出されます
ガイアスがお茶を入れてくれるという、何とも貴重な体験に固まっていると

「俺が入れた茶は飲めないとでも言うのか?」

とぎろりと睨まれたので、ジュードは慌ててお茶を口にします。

「…美味しい」

お世辞でもなんでもなく、そのお茶はとても美味しいものでした。

「当たり前だ俺が淹れた茶だからな。」

「ガイアスのお茶ってほんと美味しいよね!あ!ジュード、だっけ?この茶菓子も美味しいんだよ!」

茶菓子。その単語にもしやとレイアを見ると嬉しそうに続けた。

「お城にいるんだけど、最近貰ったんだ。ローエンから!」

ローエンまでいる、ということはきっとミラや他の人たちも存在する、ということだろう、とジュードは考えます。つまり、あのうさ耳エリーゼもジュードが一緒に旅しているエリーゼとは別人、ということになるのでしょう。

そう考えると急に本物のみんなはどこに行ってしまったのか、今頃どうしているのか、不安がジュードを襲います。

「僕、帰らなきゃ…お茶、ご馳走様でした。」

そう言うとお茶会の途中のテーブルを立って森へと戻ります

「えー?もっと楽しんで行きなよ!」

レイアがジュードの腕を引きます。

「でも、みんなのことが心配だし…」

ジュードが呟くと、ガイアスも不満そうな顔でジュードを見つめました。どうしたものかと困っていると、アルヴィンが口を開きました。

「帰る宛、あんの?」

「それ、は……」

的を射たアルヴィンの言葉にジュードは言葉に詰まります。

「宛もないのにさ迷うのはいい案とは思えないねぇ」

「でも!帰らなきゃ…」

言い返せなくて俯くジュードにガイアスがぽつりと言います。

「女王に会ってみたらどうだ?」

「女王?」

「そ。言うこと聞かない悪い子の首をはねちゃうこわーい女王様」

アルヴィンが茶化して言いました。

「会ってみたら何か分かるかもよ。…首をはねられなきゃな」

意地悪な笑いを浮かべるアルヴィンを、ジュードは半眼で睨みつけます。

「いじわるなんだから…」

「それが俺だからな。……で行くか?」

「……行くよ。どうしても帰らなきゃ…」

そうジュードが言うと今度は誰一人反対する人はいなかった。

「案内、してくれる…?アルヴィン」

「ジュードのお願いとあっちゃ、断らないよ。」

そう言うとアルヴィンは椅子から立ち上がり森へと続く道を歩き出しました。



***********



レイアとガイアスと別れ、アルヴィンに続いてジュードは森を歩いていきます。森の奥深くまで来ると、急にアルヴィンが立ち止りました。

「?アルヴィン?」

「おたくさぁ…見ず知らずのヤツをそんな風に信頼していいわけ?」

「え?」

ドンッと体を強く押されて近くにあった木にジュードの身体が押し付けられます

「いたっ、…アルヴィン…?」

「俺がどんなやつかわからないのにほいほいついてきて」

「アルヴィ、ン…なに…?」

さらに押して自分に密着してくるアルヴィンにジュードは不安になり顔を上げると

「こういうことされてもいいわけ?」

アルヴィンが強引にジュードの唇を奪いました。

「んんっ、ん…!」

ジュードは抵抗するが押さえつけられて動ことができません。必死で耐えているとアルヴィンの膝がジュードの足の間を割り、押し上げます。

「んんッ…!!」

息が出来なくて身じろぎするとアルヴィンの唇が離れた。息を整えようと口を開けた瞬間アルヴィンが今度は舌を入れてキスをしてくる。 逃げるジュードの舌を無理矢理絡めてくるアルヴィンに視界が霞がかってくる

「んぅ! …ふ…」

意識が途切れる前にアルヴィンの唇が離れて、新鮮な空気を取り込むために、ジュードは荒い呼吸を繰り返します。

「ジュードくん、初めて?」

言いながら、更に膝を押し上げてアルヴィンはジュードのモノを刺激します。

「な、に…いって…んっ、ゃ」

息が出来なくて真っ赤になったジュードの顎を持って顔を上げさせると同時に押しつけた 膝でジュードのものを刺激する。

「可愛いねぇ…さて、じゃあ始めるか」

そう言うとアルヴィンはジュードの両手を頭の上に纏めて服を脱がし始める

意地の悪い笑顔を浮かべたアルヴィンに身体をまさぐられ、ジュードはいやいやと首を振ります。それでもアルヴィンの手は止まりません。膝でジュードのモノを刺激し、ジュードの反応を楽しむようにアルヴィンの手がジュード身体を滑りました

やがてアルヴィンの手がジュードの胸を掠めると高い声があがります。

「へぇ、ジュードはココ弱いんだ?」

「や、やめっ…ひぁ!」

「美味しそう」

「ああっ!」

片方を口に含み、片方を手で刺激するとジュードの口からは嬌声があがります
与えられる快感にジュードの目からはポロポロと涙があふれました。

「あるび、アルヴィン…ッ、やぁっ…たすけて…っ」

アルヴィンの動きが止まります。ジュードが呼んでいるのが自分のことではないと気付いたのです。

「誰だよそいつ」

「…ぇ?」

「今は俺を見てろよ」

「ひっ!あぁあ!いやぁ!」

更にキツく乳首を吸うとジュードの身体はビクビクと痙攣します。

「はっ、ココ固くなってる」

「ぃゃ…やめてっ…アルヴィン助けて!」

「アルヴィンは俺だろ?」

ジュードはふるふると首を振ります。その仕草にアルヴィンは腹立ちました。

「お前の言う『アルヴィン』は、お前にこんなことしないって?」

ズボンの中に手を差し込み、アルヴィンはジュードのモノを握りこみます。

「やっ…いや…っ、やだぁ…っ、アルヴィン、助けて…ぇッ」

「煩いな…」

そう呟くとアルヴィンはジュードのモノを触っていた手をポケットに入れ仕込んでおいた薬瓶を取り出すとジュードに口づけた。

「んんっ!ふっ…ぅ…っぁ」

「飲めよ」

「んぐっ…ぅ」

息を吸い込む為に口を開けたジュードに中身を飲ませられる。
その後もアルヴィンの愛撫が続き、次第に身体が熱を帯びてきました。少し触れられるだけでびりびりとした快感におかしくなりそうです。

「ふぁ…な、に…?」

「ジュードくんが気持ちよくなれる魔法のお薬」

散々いじられた胸をアルヴィンが舐めると甲高い嬌声がひっきりなしにあがります。

「ひぁああ!?んっ、あああっ!」

「気持ちいいだろ?」

「やめっ、しゃべらな…ふあぁ!」

「こっちもビクビクしてる」

いつの間にかズボンも下ろされ露わにされたジュードのモノを撫でるアルヴィン

「いやっ、いやぁ…ッ、あるびん、あるびん…っ…」

その言葉を無視し、アルヴィンは ジュードのモノを扱き始めました。少し触れるだけですぐにイってしまったソレを、さらに容赦なく攻め立てます。

「ふぁっ、ひ、やぁ、ん、や…あるび、やだぁ…っ」

「いや? ここはもうこんなにしてるのにか?」

そういってジュードの秘部に指を触れさせます。

「ひあ!やめて、やだぁ!アル、ヴィン!」

「無理だな、ここは欲しいって言ってる」

「やめて…っ、やぁっ、ひぁあっ!」

ジュードの言葉もむなしく、アルヴィンはソコに指を突き立てます。そのままナカをぐちゅぐちゅとかき回し始めました。
ナカで指が動くのにつれてジュードの目からはぽろぽろと涙が零れ落ちます。

「ああっ、ぅ…んん…」

しばらくナカをかき混ぜているとある一店を指が掠めジュードは背中が仰け反る

「ひあぁぁあ!」

「お、ココがジュードのイイところ?」

「ひゃあ!やめ、おねがっ…いやぁあ!」

快楽に流されながらも否定の言葉と、自分ではないアルヴィンに向けられた助けを求める言葉にアルヴィンは顔をしかめます。

「あんたにとってのアルヴィン、ってのはそんなに大事な奴なわけ?」

「はぁ、はぁ…そう、だよ…」

「……」

ジュードの返事を聞いたアルヴィンは不機嫌そうな顔をする。

「俺の名前やみんなの名前を知ってたのも違う奴らを知ってたからか」

「……」

答えられず黙っているとアルヴィンはナカに入ったままの指を再び動かし始めた。

「ふぁっ、ひ、やあっ」

「答えろよ」

ぐりぐりとジュードの弱いところばかりを攻めてくるアルヴィンに、ジュードはこくこくと頷きます。

「み、んなぁっ…たい、せつな…なかま、っなんだ…ぁっ」

「その中でも『アルヴィン』は特別だって?」

「あぁっ!んっやぁあ、ある、び!」

「ほら、答えてみろよ?」

ジュードが何かを言おうと口を開く度にアルヴィンはナカを刺激します。

「ひっ、ぁんッ、とくっ、べつ、だよ…っ、ああッ!」

言い切ったジュードにアル ヴィンの動きが止まります。

「届かなく、ても…いい、って思って…でも、好きに、なってくれて…たいせつ、なんだ…」

「そうか……」

そう言ってジュードの秘部から指を抜く。

「ふぁ…?」

無言のままのアルヴィンを見上げると肩に手をつきひっくり返すと樹に手をつかせる。

「あ、あるびん…?」

ぐちゅり、とナカに熱いモノが侵入してくる感覚にジュードは思わず息を呑みます。

「ひっ…」

「大切なヤツと同じ顔のヤツに抱かれる気分はどうだ?…自分以外の男に犯されたなんて知ったら、ソイツはどう思うんだろうな?」

それを聞いたジュードは振り返って顔を青ざめて震えます

「お、おねがっ…あるびん、…やめてっ…」

「いやだね」

「ひあっ!あ、ああっ、ぅ…いやあ!」

ぐちゅり、とナカに熱いモノが根本まで入れられました。 ジュードの細い腰を抱えてアルヴィンは腰を打ちつけます

「結構慣れてんな…何度もヤってるんだ?」

「ひっ、やぁッ、ああ!おねが、やめてぇっ」

ぐちゅぐちゅと抜き差しされて、ジュードは悲鳴を上げます。

「あるびん、あるびんっ、いやぁっ」

「黙れよ」

泣き叫ぶジュードの口に首に巻いていたスカーフを入れると再び律動を再開する。

「んんっ、ふっ…ん…!」

「はっ、身体は正直だな。こんなに腰振って…おたくって淫乱だよな」

声が出せないジュードは必死に首を横に振るがアルヴィンは一向に動きを止めない。
一気に最奥を貫かれ、ジュードの体が痙攣したように震えます。そのまま崩れ落ちそうになる身体をアルヴィンの手が支えました。

「イったみたいだな…。やっぱり、気持ちイイんじゃねぇか」

嗤うアルヴィンに、ジュードの目からはぽろぽろと涙が零れ落ちました。
その涙を拭いながらアルヴィンは繋がったままジュードを自分の胸へと引き寄せるとジュードの身体はビクンと震えます

「気持ちよかっただろ?」

「ふぁ…ぁ…」

スカーフを取り出されたジュード は快感と混乱で頭の中がぐちゃぐちゃでした
大きな瞳からは、涙がぼろぼろと溢れて止まりません。

「アルヴィ、ン…っ」

こういうことをしたいのはアルヴィンだけ。目の前にいるアルヴィンではなく、元の世界にいるアルヴィンだけです。

「かえり…たいよ…ぉ…っ」

泣き続けるジュードにアルヴィンは無言で埋めていたものを抜き秘部に指を入れると中のものをかきだす。

「んっ…ふぁ…」

「………」

全てかきだすと服を整えてアルヴィンに抱きかかえられどこかに向かいました。
やがて着いた場所は小さな家でアルヴィンは家に入るとジュードを浴室に連れていきます
身を清めながら、アルヴィンはぽつりと尋ねました。

「…そんなに、そいつが良いわけ?同じ顔なんだろ?」

その顔は今にも泣き出しそうでした。けれどジュードは頷きます。

「アルヴィンじゃなきゃ…いやだ…。君じゃないんだ…」

そのジュードの言葉にアルヴィンはさらに傷ついた顔をする。

「そう…か…」

ふとアルヴィンをみたジュードはアルヴィンの傷ついたような、悲しい顔に気がつきました。

「…ある、…びん…?」

「やっぱ…許されるわけ、ないよな…」

小さく呟いたアルヴィンは悲しそうに自嘲しました。

「アルヴィン…?」

「…」

アルヴィンは黙り込み、再びジュードの身を清める作業に戻りました。

「んっ……」

時折掠めるアルヴィンの指にジュードは小さく声を上げる。すべてかきだすと浴室をでて寝室へと向かう
ベッドに座るとアルヴィンは震えながらジュードを抱きしめる。

「アルヴィン…?どうし…」

「ごめん、ごめんな…」

「…ぇ…?」

「ごめん…ジュード」

その言葉は、目の前のジュードだけに向けられた言葉ではいように思えました。

「アルヴィン…アルヴィンは、『僕』を知っているの?」

そう聞くとアルヴィンは気まずそうに視線を外すとぽつりと話し出す。

「…あぁ…知ってるよ…」

「…もしかして何か、あったの…?」

そうジュードが訪ねるとアルヴィンは俯くとゆっくりと話し始めた。

「酷い…ことを、したんだ…。俺が…『ジュード』に…。あいつはそれに怒って、二度と近づくなって…。自業自得…だけどさ…」

そう自嘲の笑みを浮かべながらアルヴィンは言いました。

「アルヴィンは…彼、が…好きなの?」

そう聞かれたアルヴィンは数回驚いたようにまばたきをし、笑みを浮かべると

「…好きだよ…」

そう寂しそうに、悲しそうに答えるアルヴィンにジュードは痛む体を鞭打ってアルヴィンを抱きしめました

「止めろよ…」

アルヴィンはそんなジュードを突き放します。

「哀れみか?同情か?そんなもん…欲しくないんだよ。お前が大切なのは『アルヴィン』だろ?俺じゃない。…俺じゃ、おたくらの『大切』にはなれない。」

そうジュードを言葉で突き放すとアルヴィはうなだれる。

「……そりゃ、僕にとってはアルヴィンじゃない『アルヴィン』が大切だよ…でも…」

「…ぇ…?」

「僕と『アルヴィン』も喧嘩、したんだ…」

ジュードはぽつぽつと『アルヴィン』の事を語りだします。

「…僕は『アルヴィン』に裏切られて、傷つけられて…それでも、利用されてるって分かっても好きなままで、苦しくて…仲間も傷つけられて、僕自身も殺されそうになった。…消えてくれ、って言われたりもした」

話す度にその事を思い出して、ジュードはどんどん俯いていく。

「でも嫌いにはなれなくて…今の関係に戻るには時間はかかったけど…『アルヴィン』と一緒にいられて嬉しかった…。きっとここにいる 『ジュード』も、ほんとはアルヴィンと一緒にいたいんじゃないかな…?」

「…お前に、何がわかるんだよ…」

アルヴィンは俯いたまま、吐き捨てるように言います。

「…分からないよ。僕は、『僕』に会ったことはないから。でも…会って、話をしてみて欲しい。話さないと、伝わらないこともいっぱいあるから…。
だから、諦めないで。きっと『僕』もアルヴィンを待ってるはずだから…ね…?」

「…ほんと…お人好しなのは変わらないんだな…」

顔を上げたアルヴィンの顔は涙で塗れていてジュードはそんなアルヴィンを抱きしめる
しばらくそのまま抱き締めていると、アルヴィンがやんわりとジュードの腕をはがしました。

「そんな風にしてると、おたくの『アルヴィン』が嫉妬するんじゃねぇの?」

「えっ…そんなこと、…ある、かな?」

赤くなって尋ねるジュードに、アルヴィンは笑います。

「俺が『アルヴィン』ならかなり嫉妬するよ」

「も、もうからかわないでよ…///」

真っ赤になって俯く ジュードにアルヴィンは笑いながら頭を撫でた

「ありがとな…俺はお前に、あんな酷いことしたのに」

「ちゃんと、『僕』に会って、きちんと話してみよう?」

ジュードがアルヴィンの手を引いて立ち上がろうとします。が、よろよろと座り込みました。アルヴィンが慌てます。

「悪い!ひどくしたから…!」

「ううん、大丈夫…でもこれじゃあ歩けないや…。もう少し待ってもらえないかな?」

そう申し訳なさそうにアルヴィンに言うとアルヴィンは悲しげに

「ごめんな…俺があんな事したばっかりに」

「もうその話は止めにしよう?…そうだ、こっちの『僕』ってどんな感じなの?」

「どんな?」

「うん、教えて?」

そう言うとアルヴィンは少し考えたあと言いました。

「人に流されやすいかと思いきや、意外と自分を持ってて、自分より他人が優先のお人好し。本当は寂しがり屋の癖にそれを我慢して笑ってるタイプ。…あと、結構頑固。でもめっちゃ可愛くて…」

「守ってやりたい…そばにいてやりたいって思える奴だよ。」

はにかんだように言い切ったアルヴィンにジュードは笑う。

「どうしたんだよ」

「ううん、アルヴィンはそう思ってるって初めて知ったから……僕はどこにいても似たような性格なんだね」

自分の世界のアルヴィンも、そう思ってくれているのだろうか?そうだと嬉しいな、とジュードは思いました。そして、アルヴィンにここまで思われているこの世界の自分が羨ましくもなりました。

「今日はもう休んで、後は明日にしようぜ?」

そのアルヴィンの言葉に窓の外を見ると明るかった空は暗くなっていた

「いつの間に…」

「どのみち明日まで動けそうにないだろ?ベッドは1つしかないからジュードが使ってくれ」

そのアルヴィンの申し出にジュードは聞き返す。

「え?アルヴィンは?どこで寝るの?」

「俺は床で寝るさ」

平気そうに言うアルヴィンに、ジュードは慌てます。

「だ、ダメだよ!アルヴィンの家なんだから、アルヴィンがベッドで…」

「そんな状態で床なんかに寝たら、明日も動けないぞ?」

「でもっ、この家はアルヴィンの家なんだからやっぱり僕が…」

「あーもう、おたくも頑固だな」

それでも譲らないジュードにしびれを切らしたアルヴィンはジュードを抱えたままベッドに横になる

「ア、アルヴィン!?」

「これなら文句ないだろ?」

ぎゅっと抱きしめられて、ジュードが混乱していると

「もう、何もしない。ただ寝るだけだ…おやすみ」

と優しく囁かれました。すぐに規則正しい寝息が聞こえ始めて、ジュードは気持ちを落ち着かせるために大きく深呼吸します。
抱きしめられた腕の中は暖かくてジュードは段々と睡魔におそわれてきました

(アルヴィンの腕の中…あたたかい…)

そう思いつつジュードは目を閉じました。



***********



次の日、ジュードが目を覚ますと目の前にはアルヴィンの顔。声をあげそうになるのを必死で止めて再びアルヴィンを見ます

(やっぱり、格好いいな…)

その整った顔をじーっと見つめていると

「男前で見惚れちゃった?」

目を瞑ったままのアルヴィンから、そんな言葉が発せられました。びっくりしていると、アルヴィンが目を開けます。

「あ、アルヴィンっ、起きてるなら言ってよ!」

「わるいわるい、でもジュードが悪いんだぜ?ずっと俺の顔見てるからなかなか起きれなかったんだ」

「あ、そ、それは…ごめん…」

「そんな落ち込むなよ。さて、朝飯にするか」

そう言うとアルヴィンはベッドから起き上がり台所へと向かう
ジュードもベッドから起き上がろうとしますが、腰に痛みが走り、うまく起き上がれません。

「もう少し休んでろよ。せめて朝飯食い終わるくらいまではさ」

アルヴィンの言葉にジュードは甘えることにします。

「うん…ありがとうアルヴィン」

アルヴィンの言葉に甘えてまたベッドに横になるとジュードはこれからの事を考えます。

(アルヴィン達、心配してないかな……。そういえばこっちの『僕』は、どんな事をしてるかわからないや)

しばらくするとアルヴィンが朝食を持って戻ってきました。

「できたぜ…あんまり上等なもんじゃないけどな」

「ううん、すごく美味しそう…いただきます」

ジュードは考えるのを止めて、アルヴィンに手伝ってもらいながらテーブルに座り朝食を食べ始めました。
アルヴィンは料理を口に運ぶ僕を真剣に見つめて問いかけてくる。

「…どうだ?」

「うん、すごく美味しいよ!アルヴィン。」

「そっか、それならよかった」

心配そうだったアルヴィンは僕の答えを聞くと安心したようにほほえんだ

「ねぇ、こっちの僕は何処にいるの?」

ジュードはさっき気になったことをアルヴィンに尋ねてみることにします。

「こっちの僕って、一体何をしてるのかな…って、ちょっと疑問に思って…。僕、ここのこと、全然わからないから」

「こっちのジュードの事か…ジュードはこっちじゃ珍しい黒猫でさ」

「え?こっちだと黒猫が珍しいの…?」

「大体は俺みたいな色が混ざったやつばっかりさ。ジュードの色は綺麗な黒色で、みんなから綺麗だって評判だったよ」

「そう…なんだ」

ジュードの色が綺麗だと言ったアルヴィンの表情はうっとりとしたもので、こちらが照れてしまいます。

「それから、目もすごく綺麗な…はちみつみたいな色してて、うまそうだなって…いつも思ってた」

「う、うまそうって…!食べられないからね!?」

そう言ってジュードが目を隠すように手を動かすとアルヴィンは面白そうに笑った。

「くくっ、いくらなんでも食べねぇよ。可愛い反応してくれるねぇ」

からかわれたことに気づいたジュードはぷぅっと頬を膨らませます。その仕草に、アルヴィンはまた笑いました。

「悪い悪い。機嫌直せよ」

「知らないっ」

ふいっと横を向くと、アルヴィンが頭を撫でてきます。それはジュードの世界のアルヴィンと同じ仕草でした。
それを感じたジュード微笑んでアルヴィンに向き直ります。

「やっぱり、僕の世界の『アルヴィン』とアルヴィンは一緒だよ。だからきっと『僕』もアルヴィンと仲直りしたがってる。」

「ジュードがそういうならそうかもな…」

ジュードの微笑みにつられるように、アルヴィンも笑みを零しました。

「じゃあ、早く『僕』に会いに行こう?」

ジュードが椅子から降りようとすると、アルヴィンは

「せめて、片付けが終わるまで休んでろって」

とジュードを押しとどめました。

「もう、だいぶ痛みはなくなったよ。心配しすぎじゃ…」

「良いから、ほらもう少し休んどけって」

そう有無を言わずにジュードを椅子に押し戻すとアルヴィンはキッチンへと食器を片付けに行った

結局アルヴィンが戻るまで休んでいたジュードは、身支度を整え、アルヴィンとともに出発しました。

「お城ってどこにあるの?」

「この森を抜けた先だ」

ふとジュードに疑問が浮かびます。

「『僕』、何でお城にいるの?」

「女王陛下のお気に入りだからだよ」

「…え?お気に入りって…」

「女王は美しいもの、綺麗なもの好きだからさ。俺はジュードと喧嘩した後くらいから毛嫌いされてるけどな」

「そう、なんだ…」

そう話しているアルヴィンはどことなく悲しそうな顔をしていた。

「そんな顔すんなよ」

俯いたジュードの頭をくしゃりとアルヴィンが撫でます。

「女王がどう思っててもさ、『ジュード』が会いたいって望んでくれるなら…話をしてくれるっていうのなら、俺はちゃんと話をして謝れる。それは女王には関係ない話だからな」

「そう、だよね…じゃあ早く会いに行こう?アルヴィン」

アルヴィンの言葉に勇気づけられたのか顔を上げると少し遠くに目的地の城を見つけた。

「あれがお城…」

美しいもの、綺麗なものが好きな女王様だというだけあって、美しい城でした。

「…なんか、オルダ宮に似てるかも」

そんな感想を抱きながら二人は城へと近づきます。「待て!」城の入口で、衛兵に引き止められました。

「え…?」

その衛兵をみてジュードは驚きます。

「え、あの…エデさん…?」

「知り合いか?」

「まぁ、一応…」

小さく衛兵に気付かれないようにしゃべっていると衛兵は更に話しかけてくる。

「ここから先は女王の許可なしには通せない。悪いが出直してくれ」

「ど、どうしよう…」

強行突破という方法もありましたが、それをすると目的を果たせなくなりそうで、ジュードは躊躇いますが、その時でした。

「お前っ!こんなところにいたのか!女王様がお待ちだぞ!早く来い!」

「うわっ、え?イバル!?」

「おい、イバルそいつは…」

「うるさい、お前は城に近づくなと言われていただろう!さぁ行くぞ」

「ちょ、待って…アルヴィン!」

いきなりの事でろくに抵抗出来ずそのままジュードは城へ連れて行かれてしまった。

イバルに引きずられながら、イバルの頭上に目をやるとうさ耳がぴょこぴょこ揺れていました。そういえばエデさんの鎧も、なんだかトランプのような変な模様が入っていたな、などと考えます。

「さぁ、女王様がお待ちだ!入れ!」

そう言われて目の前をみると大きな扉。その扉をイバルが開くと金色の長い髪を持った女性が座っていた。 その女性もジュードは見たことがある

「……ミラ…?」

「おお、ジュード戻ったか!」

きらびやかなドレスは彼女にとてもよく似合っていて、思わずジュードは顔を赤らめます。

「ん?どうかしたのか?」

「な、何でもない!」

慌てて首を振ると、ミラが訝しげに顔をしかめました。

「ジュード、君の愛らしい猫耳はどうした?」

「え?猫耳…?」

「頭についていたろう?」

不思議そうに聞いてくるミラにジュードは答える。

「…僕に耳はないんだ、こことは「なんだと…」え…?」

ジュードの話を遮ったミラは俯きわなわなと震えていた。

「美しい毛並みと愛らしい猫耳!君にはそれが揃っていたはずだ!」

「え、ちょっ、まっ…」

ミラの剣幕にジュードが押されていると、後ろから声がしました。

「ミラ?どうしたの?そんなに怒って…」

ジュードが振り返ると、そこには猫耳をつけた自分の姿がありました

「君が『僕』…?」

「え…誰…?」

『僕』は信じられないものでも見たような顔で僕を見てくる

「ジュードが2人…これはどういうことだ」

側にいたミラはなにかを考えるように腕を組む。

ジュードは『ジュード』をまっすぐに見つめます。

「君に…会いたがってる人がいるんだ」

その一言で『ジュード』はそれが誰のことなのか察したようでした。さっと顔色を変え、首を横に振ります。

「僕は…その人には会えない」

「どうして?」

「だって、彼は…」

「お前がジュードに会わせようとしているのはアルヴィンのことか」

俯く『ジュード』を助けるようにミラが会話に入ってくる。

「そう、ですけど…」

「ならば諦めろ。あいつはジュードを殺そうとした。会わせるわけにはいかない」

ミラが厳しい視線でジュードを見据えます。その言葉に、ジュードは、やっぱり、と思いました。

「こっちのアルヴィンも、『僕』を殺そうとしたんだね」

「こっちのアルヴィンも…?」

ジュードの言葉に疑問を持った『ジュード』はそう返した。

「僕もね、アルヴィンに殺されそうになったんだ」

「君も…」

「お前も体験したならわかるだろう。あいつは危険だ。『ジュード』に会わせるわけにはいかない」

「でも!…ちゃんと、話をしてあげて欲しいんだ。あの人は、本音を話すのが苦手な人だから…」

どうすればうまく伝えられるだろう?ジュードは思考を巡らせます

「どうしてそこまで言えるの…?君も同じ目にあったのに」

わからないとでも言いたげな『ジュード』にジュードは微笑む。

「なんでだろ…でもアルヴィンの事を知ってから、放っておけなかったんだ」

そこで一旦目を閉じ、息を吸うと目を開いて『僕』を見る。

「君も…同じじゃない?アルヴィンと話をしたいって思っていない?…アルヴィンが何を思っているのか、本当の気持ちを知りたいって」

ジュードが尋ねると『ジュード』は俯いてしまいました。

「僕は…」

そう言って俯く『ジュード』を見つめているとミラが遮るように話し出す。

「それを知りたいがために『ジュード』に危険を犯させるのか?私は反対だ。」

「アルヴィンは、絶対危害は加えないよ!信じてあげて」

そう言ったその時でした。

「…ジュード!」

アルヴィンが玉座の間へと駆け込んできました。そして二人のジュードを見比べると、ジュードに向かって

「大丈夫か?」

と尋ねます。ジュードは頷いて、そしてアルヴィンを『ジュード』へ向き合うように促します。

「ほらアルヴィン、ちゃんと話つけないとでしょ」

「………」

「ああ…」

向き合った2人は気まずそうな空気を醸し出していてなかなか話出さない。

「やはり無駄だったようだな」

「待ってミラ。もう少しだけ」

「その」
「あの」

二人は同時に口を開き、同時に口をつぐみます。しばらくして、アルヴィンが切り出しました。

「その…悪かった。謝って許されるようなことじゃないとは思ってる。でも…どうしても、謝っておきたくて…」

「…僕も…あの時はカッとして、言い過ぎて…アルヴィンの事、傷つけたよね」

目を伏せ悲しそうに話す『ジュード』にアルヴィンは首を横に振る。

「あれは自業自得っていうか…俺があんなことしなければ…」

「それは僕だって…」

再び黙り込んだ二人を見つめて「まったく…焦れったいな」ミラが呆れたように呟きます。ジュードも同じことを思いながら、もしかして自分とアルヴィンもこうなのかも…と思うと複雑な気分になりました。
それと同時に周りの仲間達もこんな気分になっていたのかと自覚する。

「アルヴィン、一番言わなくちゃいけないことあるよね」

少しだけ手を貸そうとジュードはそうアルヴィンに言いました。

「え?あ、ああ…」

「一番言わなきゃいけないこと?」

首を傾げる『ジュード』にアルヴィンが口ごもります。どこまでも焦れったい二人に、ジュードは思わず溜め息が零れました。

「アルヴィン、僕はここまでしか手伝えないから。言わないと伝わらないよ」

これが最後…と思いながらそうアルヴィンに言うとアルヴィンはようやく決心したのかまっすぐと『ジュード』を見つめると口を開いた

「俺は…お前に酷いことをたくさん言って、酷いことをして、今更って思われるかもしれない。けど…俺は、お前のことが、好きなんだ。許してくれとかそんなこと、言うつもりはない。迷惑に思われるのも分かってる。ただ…伝えたかっただけなんだ」


「…本当にそれだけだから…じゃあ俺行くな」

そういって立ち去ろうとするアルヴィンに『ジュード』は声をかけます

「待ってアルヴィン!」

思ったより大きかったその声にアルヴィンは驚いて振り向きました

「僕も…アルヴィンと、これからもたくさん話がしたい…アルヴィンのこと、もっと知りたい」

『ジュード』が目を伏せて続けます。

「また…来て、くれる?」

「…ああ、そこの女王陛下が許してくれるなら」

そう聞くと『ジュード』は傍で見守っていたミラに目をむけます。黙って見守っていたミラはため息をついて

「…断る、と言いたいがここは『ジュード』に免じて許してやろう。ただし、また『ジュード』を泣かせるようなことがあったらただじゃ済まさないからな」

そう言ってアルヴィンをにらみます。
その答えに、アルヴィンはホッとしたように頷きました。アルヴィンはジュードに向き直ると「ありがとな」とお礼を言います。

「俺一人だったら、こんな風に和解は出来なかった」

「ううん、アルヴィンが頑張ったからだよ」

ジュードも微笑みます

「ところでこっちのジュードは誰なのだ?耳はないが『ジュード』にそっくりだ」

とミラは傍にいたジュードの頭を撫でまわします。

「わ、ちょ、ちょっと…」

「このジュードはこことは違うとこから来たんだ。…なあ、あんたの力でこのジュードを元の世界に戻してやれないか?」

アルヴィンの申し出に、ミラはふむ、と唸りました。

「わかった。やってみよう」

「本当に?」

「猫耳がなくても愛らしい君のことを傍に置いておきたいのは山々だが、帰るべき場所が、君にもあるのだろう?」

そう尋ねられジュードは力強くうなずいた。

「うん、僕には待ってくれてる仲間がいるんだ」

「そっか…ありがとう『僕』とアルヴィンを仲直りさせてくれて」

『ジュード』が近寄りジュードの手を握ります

「俺からも、本当にありがとなジュード」

「さて、君が帰りたい場所を強く心の中に思い描くんだ」

ミラの言葉に頷いて、ジュードは目を閉じます。一番最初に思い描いたのは、彼の姿。

「じゃあな、向こうの俺とも仲良くな」

「さよなら」

アルヴィンと『ジュード』の声に、ジュードは微笑みました。

「うん、じゃあね」

ふわっとした浮遊感にそのまま体を預ける。 しばらく感じていた感覚がなくなるとジュードは目を開けた 最初に目に入ったのは草の生えた地面、それに背中にある樹でそのままあたりを見回すと少し離れた場所にアルヴィンを見つけた

「ジュード、そこで何やってんだ?探してたんだぞ?」

アルヴィンもジュードに気付き、駆け寄ってきました。その頭には、もちろん猫耳なんてありません。

「…夢を、見てたのかも」

「はあ?寝てたってことか?」

「かも、しれないね。」

「?」

頭に?を浮かべたようなアルヴィンにジュードは笑います。

「夢…アルヴィンも出てきたよ」

「お?俺の夢をみたのか?」

「うん。酷い事もされたけど、やっぱり僕のことを大切に思ってくれるアルヴィンが出てくる夢…」

ジュードの綺麗な微笑みに、アルヴィンは思わず見とれます。

「どうしたの?アルヴィン」

「いや…なんでもねぇよ///」

顔を真っ赤にしたアルヴィンは顔をそむけ少し経った後、向き直ると手を差し出します。

「アルヴィン?」

「ほらみんな待ってるから、行こうぜ?」

「うん!」

その手を取り、ジュードは立ち上がります。手を離そうとしたアルヴィンの手を握り、ジュードは恥ずかしそうに尋ねました。

「…もう少し、手、繋いでてもいい?」

「あ、ああ」

そんなジュードの行動の驚きつつもしっかりと握り返してくれました。
その行動がうれしくてさらにアルヴィンの手をぎゅっと強く握ると待っているだろう仲間のもとへ一緒に歩きだした。






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