君と生きる2話
2012/05/12 09:22
俺が初めて担当した患者は原因もわからず、治療法もわからない病を患った15歳の少年だった。
2話
「(また、外を見てやがる・・・)」
病室を訪れると必ずといっていいほど外を眺めている少年ージュード・マティス
俺がジュードの担当医になったのはつい先日、ローエンに頼まれたからだ。
それ以来毎日通っているが慣れていないからなのか、ジュードはいつも無表情だった。
「おはよう、ジュード」
「おはようございますアルヴィン先生」
背中を向けて窓の外を見ていたジュードは俺の声で振り返ると、いつものように返事を返す。
「さて、今日の体温測るぞ」
すでにベッドに座って待つジュードに体温計を渡して俺はジュードのカルテに書き込む用意をして待つ。
測り終わるまで俺たちの間には沈黙が流れる、が
「(沈黙が痛ぇ・・・)」
もともとあまり話さない性格なのかジュードとの会話はほぼ0に等しかった
どうしたものかと考えていた時体温計の音が鳴った
取り出した体温計をジュードから受け取った時僅かに触れた手は少し冷たかった
「35.9か、ちょっと低くねぇか?」
「平熱が36℃なんで、普通ですよ」
カルテに書き写す間にジュードに話しかけてみたが、そっけない返事を返すジュードはまた窓の外を見始めた
ふと少し疑問に思ったことをジュードに聞いてみた。
「なぁ、学校の友達とかいないのか?」
誰かがジュードの見舞いに来るなんてこと、この数日間無かったから少し気になっていた。
後はそれをきっかけにでも話せるようになるかとか適当に考えていた、ジュードの返事を聞くまでは
「いないですよ友達なんて」
「え・・・・・・?」
「5歳からずっとここにいますから」
そう言い放ったジュードの顔は出会ってからずっと無表情のままだった。
ようやく検診が終わってまだ何かいいたそうな顔の担当医に背を向けて外を見続ける。
目線をずらして窓越しに様子を伺うと少し戸惑ったような動きをしたあと病室をでていった
なんであの人にこんな態度をとるのか自分でもわからなかったけど、あの人と一緒にいると僕の胸の中に何かが湧き上がってくるような感じがして
そこまで考えて気のせいだと頭を左右に振って再び外を見ると病院に走ってくる1人の少女を見つけてため息をつく。
「そんなに急がなくてもいいのに…」
ゆっくりとベッドまで戻り座り直すとものの数分もたたないうちに病室のドアが開けられた
End
後書き
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