1年間だけの恋〜if〜

2012/03/30 23:46


※注意事項
1年間だけの恋、のもしもVer.です
内容はもしアルヴィンが家に帰って来た時、既にジュードが連れ去れていたら。になります
軽い洗脳ネタが入ります
ジュード視点とアルヴィン視点が入り混じってます
めっちゃ長いです。注意








暗くて狭い部屋…ここに来てからずっとこの部屋にいる
子供の頃からここにいるらしいけど何も覚えてない


でも記憶の片隅にいるあなたは誰ですか…?
なぜあなたの事を考えると胸が苦しくなるんだろう…
知らない人のはずなのに、なんで……?








あの日、小屋に帰った時ジュードの姿が見えなか
った
あいつらに殺されてしまったのかとも思ったがそんな形跡はなかった


「どこに行ったんだ、ジュード…!」


机を叩いて頭で考える

まさか―――………


「国に連れて帰らされた…?」


そうつぶやくとすぐに小屋を出てある場所へと向かった







「これをつけろ」

「はい…」


白衣を来た男の人が僕の両手首に何かの機械をつける


「よし、これでいいだろう」

「…………」


つけられた機械をボーッと見つめていると部屋のアラームが鳴りはじめた


「ん?侵入者か?…ちょうどいい、その機械の実践をするか」


そう言うと白衣の男の人は僕の腕をとって部屋をあとにした









「ちっ、めんどくせぇところだなここは」


研究所らしき建物に忍び込んだはいいが中が異様に広く通路は迷路のように複雑だった
比較的まっすぐな通路を走っていると真っ白なドアが目の前にあらわれた


「しらみつぶしに探すしかねぇか」


そう言って真っ白なドアを開け目の前にあらわれたものに目を見開く


「ジュード…?」








連れてこられた部屋は壁一面が白くて何もない部屋だった
僕の正面のドアが勢いよく開いて一人の男の人が入ってくる。その人は僕を見て驚いたように目を見開いた


「ジュード…?」



ーーこの人が僕を知っているはずがないのに…
なんで名前を知っているの?――







目の前にあらわれたのは探していたジュードと知らない白衣姿の男
遠目で見たジュードの瞳には光がなく虚ろに見えた


「てめぇ、ジュードに何しやがった」


「何って、おとなしく実験を受けてくれるように薬を飲ませただけだよ」


そう言うと立ったまま動かないジュードの両手を上げて


「この機械はこいつの力を破壊する力に転換するものでね。力を使った途端発動するのさ
 さて、」

「そろそろ侵入者を殺してもらおうとするか」


男がジュードの耳元で何かを囁くと微動だにしなかった肩がピクリと動いた









―あの侵入者を殺しなさい―

そう言われた途端なぜか肩が震えた


―殺す…あの人を…―


言われた事を頭の中で反復させながら立ちすくむあの人に向かって近づいていく


「ジュード、…」


なんでそんな声で僕を呼ぶの…?
なんでそんな悲しい顔をするの…?
わからない…でもなんだか…懐かしい…?


「やれ」


その言葉を聞いて僕はあの人に手を向ける







「ジュード、…」


虚ろな瞳のまま俺に近づいてくるジュードの名前をつぶやく


「やれ」


少し近づいたジュードが俺に手を向けてくる

自分の力を恐がっていたジュードが頭の中で蘇った


――あんな事…したく、なかったのに…!――


泣いて震えていたジュード
それを思い出すと胸が苦しくなった


「ジュード…」

「…………」


相変わらずの無表情に無言で近づいてくるジュードに必死で呼び掛ける


「ジュード!目を覚ましてくれ、ジュード!」

「無駄だってのまだわかんないの?この薬結構強いんだから」

「ジュードッ…!」

「…ァ……」

「ジュード…?」


虚ろだったジュードの瞳に僅かに光が見えた気がした







「ジュード!目を覚ましてくれ、ジュード!」


―…なんで…?…なんでそんなに悲しそうなの…?


―でもこの声は…聞き覚えがある


―記憶の片隅の…あの人…?


ー暖かくて…優しい…


―確か……、名前は……


「ジュードッ…!」

「…ァ……」

「ジュード…?」

「ァル…ヴィ、ン…?」


――アルヴィン
彼の名前を思い出した途端に酷い頭痛が僕を襲った


「っ…ぅ……ぁ…」


立っていられなくてその場に崩れるように膝をついた








「ァル…ヴィ、ン…?」


ジュード虚ろだった瞳が光を取り戻す
だけどその瞬間に


「っ…ぅ……ぁ…」


酷く苦しそうに頭を抱えて立っていられなくなったのか、ジュードはその場に膝をついた


「ジュード!」

「ちっ、薬の量が少なかったか」


俺がジュードに駆け寄る前に男が近づいてジュードの顔を上げさせ無理矢理頬をつかむ


「また薬を飲ませればいけるだろ」

「やっ…!……んぐっ…んっ……ぅ…」

「ジュード!」


嫌がるジュードに無理矢理薬を飲ませて口を塞ぐ
苦しさで薬を飲み込んだジュードの瞳からは涙が流れ落ちる

何も出来なくてそのままジュードの瞳が虚ろになっていくのを見ていることしか出来なかった








ーアルヴィン…アルヴィン…!


思い出せば思い出す程僕を襲う頭痛が酷くなって何も考えられなくなる

動けない僕に白衣の男の人が近づいて顔を上げさせ無理矢理頬をつかむ


「また薬を飲ませればいけるだろ」


―いやだ…飲みたくない…!


そう思って反抗するけどそんなの無意味だった


「やっ…!……んぐっ…んっ……ぅ…」

「ジュード!」


僕の口に無理矢理薬を入れて口を塞ぐ
苦しくて、薬を飲み込むしかなかった
飲んだ瞬間からおぼろ気になる頭に瞳から涙が流れ落ちた


ーいやだ…忘れたく、ないのに…








「これでいいだろう」


また虚ろな瞳に戻ったジュードを立ち上がらせる男


「てめぇ…」

「こいつの大事なものは全て壊させたはずなんだが…少し目を離したら増えていたみたいだな」

「壊させただと…?」

「故郷、両親、友達…全部こいつの力で壊してやったのさ
5歳のこいつには相当堪えただろうな」

「……っ…!」


―だからジュードは…


一緒に暮らしていた間、時折うなされてるのか泣きながら謝っていた


―ごめんなさい…ごめん、なさっ…っ……ゆるして、…くださ……ぅ…


「そういう事かよ…」

「さて、お喋りはここまでだ。さっさと殺して、もらおうか!」


そう言いながら佇んでいるジュードを俺の方へと押し出す

虚ろな瞳をしたジュードは涙を流しながら小さく震えていた








「さて、お喋りはここまでだ。さっさと殺して、もらおうか!」


そう言いながら佇んでいる僕を男の人の方へと押し出す、白衣の男の人


―あの人を殺さなきゃ…

―そんなことしちゃダメ

―なんで…?

―あの人は…僕の大事な、人なの!


頭の中で僕と僕が言い合っている
大事な人……それを聞いたら僕から涙が流れて体が小さく震えはじめた


―大事な、人……


そう思いながらあの人に近寄っていく
後少しで手が触れるところまで近づいた時腕を引っ張られて何か暖かいものに包まれていた


「ジュード」

「…ァ…ル…」


僕の名を呼ぶその声と暖かさに安心した僕はそのまま意識を失った





泣いて震えながら近寄ってくるジュードを見ていられなくて俺に向けられた手を引っ張ってそのまま小さい体を抱き締める


「ジュード」

「…ァ…ル…」


震える体を抱き締め耳元で名前を呼ぶと涙の溜まった瞳に僅かに光が戻りそのまま腕の中で気を失った。



「ちっ……使えない奴だな」


状況を窺っていた男は俺の腕の中で微動だにしないジュードに舌打ちをしてどこからか隠し持っていた銃を構えた


「もう死んでくれていいよ。後で解剖するし」


言いたい事だけ言うと男は構えた銃を俺達に向けて放つ


「悪いがここで死ぬつもりはないんでね」


放たれた銃弾を避けて腰のホルダーから銃を抜き、男に撃ち返す
反撃が来るとは思いもしなかった男は胸を撃ちぬかれて絶命した。
気を失ったジュードの手首から機械を抜き取り、横に抱えて通ってきた道を出口へと急いだ






何かに揺すられる感覚を感じて目を開いた


「ジュード!大丈夫か?」

「…ァ…ル、…ヴィン……?」

「無事みたいだな…」

「…僕…何して……」

「良かった…」

「アル……?」


良かったと繰り返しつぶやいて僕を抱き締めるアルヴィンにただ呆然としていた


「これからジュードの事、絶対離さないからな」

「え……?」

「あんな想いはごめんだ…」

「僕も……アルヴィンと離れたくない…!」


僕を抱き締めるアルヴィンの腕の力は強くて。
それに負けないように僕も力の限り抱きついた。



―いつまでも、一緒に―



そう誓いあった。


End






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