拍手連載4話

2012/03/29 08:40


「ジュード・マティス…か」


呟いた名前は俺が期間限定の担任になった3組の生徒。確かに品行方正、頭脳明晰な生徒で優等生を絵に描いたような奴だ。
だけど俺が気になってるのはその面じゃない。


「どこか似てるんだよな…」


思い出すのは少し前に夢で見た少年。名前はやはり思い出せないが雰囲気や目などがあの優等生に似ていると思う。


「っと、そろそろでないとだな。ったく用事増やしやがって…」


ふと視界に入った時計を見て考えごとを途中で止め、いつもより早めに家を出た






珍しく早めに登校して(ヤボ用のせいだ)いると目の前にふらふらしながら歩く少年を見つける
あそこでふらふらしてるのはーーー


「マティス!?」

「あ、れ・・・アルヴィ、ン先生・・・?」

「どうしてそんなふらふらしてんのに出歩いてんだよ!」


支えた体は服越しでもわかるくらい熱く、内心で舌打ちした。


「だって・・・学校・・・」

「んなもん・・・っておい!」


そのまま腕の中で力無く倒れたジュードを俺はすぐに保健室へつれていった






「んっ・・・」

「起きたか?」

「あれ・・・ここ・・・」

「保健室だ。おまえ倒れたんだよ」

「そう・・・」

「風邪と寝不足だな。とりあえず家に連絡するから「!・・・ダメっ」ちょっ…!」

「家には・・・連絡、しないで・・・!」


ベッドから起きあがろうとして落ちそうになる体を慌てて支えると必死な顔をして訴えてくるジュード


「なんで・・・」

「一人で、大丈夫だから・・・だから・・・!」

「・・・わかった。そのかわり今日はここで寝てろ。いいな?」

「う・・・ん」


落ち着かせてベッドに横にし、布団を被せるとすぐに眠ったジュード


「家に連絡すんなって・・・」


頭をかきながら眠っているジュードを見下ろしてため息をついた








用事を済ませ、様子を見にベッドを覗くとなにやら魘されているのかジュードは苦しそうに息をしていた


「ん・・・うっ・・・・・・っだ・・・」

「ジュード?」

「やだ・・・やめっ・・・・・・」

「おい、ジュード!」

「独り、は・・・やだ・・・よ・・・」

「なっ・・・」


丸くなりながら両耳を塞ぐジュードの腕を掴んで揺り起こそうとしても起きてはくれない


「起きろ、ジュード!」

「・・・やっ・・・!」


混乱しているのか腕をつかんだ俺の手を引き離そうともがいてるうちに、ジュードの袖がめくれあがり白い包帯が目に入った


「なんだこれ・・・」

「ふっ・・・ぅ・・・」

「!・・・起きた、か・・・?」

「・・・・・・?」

「どうした・・・?」


目を覚ましたジュードは涙に濡れて虚ろな目をこちらに向けて小さな声で呟いた


「アル…に、…ちゃ…?」

「!」


その言葉を聞いた途端、俺のなかで引っかかっていた何かがとれた気がした










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