君と生きる1話

2012/03/25 11:22


いつ起きても変わらない一面真っ白な壁、変わらない景色…
何年も変わらない日常に僕は疲れていた。




第1話





朝起きてからの習慣になった、窓の外の景色を見ていると閉まっていた扉が開いて見慣れた白衣を着た老人が部屋へと入ってきた
そこまではいつもと同じ光景だったけどその老人の後ろからもう一人見たことのない男の人が入ってきた。


「おはようございます、ジュードさん」

「…おはようございます、ローエンさん」

「今日はお話がありまして。以前担当医が変わるというお話をしましたよね?」

「はい」


穏やかな物腰で話しかけてくる老人ーローエンの話を聞きながら後ろにいる男の人に目を向ける。白衣を着ているのにぼさぼさした髪のせいであまり医者とは見えない男の人。
僕の視線に気づいたのか一瞬だけ目があってしまい、すぐに僕は逸らしてしまった。
なぜだかは知らないけれど見てはいけないような気がして…


「彼がジュードさんの担当医になるアルヴィンさんです。さ、アルヴィンさん」

「ああ…俺が今度から担当医になったアルヴィンだ。まぁ、よろしく頼むわ」

「はい…よろしくお願いします」


あまり顔を見ないようにお辞儀をするとそのまままた窓の外を見る
ちらりと男の人ーアルヴィンの様子を見ると頭をかきながらなんとも言えないような複雑な顔をしていた。
ちょっとだけ胸が痛んだけどなんでもないと無視した。














「では引継ぎがありますので失礼しますね」


再び俺らに背を向けるように窓の外を見てしまった少年にそう声をかけるとローエンと俺は部屋から出ていった





「引継ぎが俺だったのはよくなかったんじゃねぇか?」

「おや、どうしてですか?」


心底意外そうに聞き返してくるじいさ…ローエンにため息をつく


「結構な壁を感じたぞ。目があった瞬間に逸らされるとか」

「……元はいい子だったんですよ。入院生活でだいぶ変わってしまいましたが…」

「入院生活でって…」

「アルヴィンさんならジュードさんとやっていけると思っていますので」

「なんだよそれ」

「では、これがジュードさんのこれまでのデータです。お願いしましたから」


言いたいことと渡すものをさっさと渡して帰ってしまった老人の手際のよさにに呆れる


「ったく…とりあえず、一度目を通すかね…」


ローエンの置いていった書類の入ったファイルを初めから目を通し始めた。


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