拍手連載3話

2012/03/08 13:20



最後の授業も終わりに近づいて僕は自分の体が怠いことに気がついた


「(ぼーっとする…)」


特に眠いわけでもないのに上手く頭が働かない、この症状には心当たりがある


「(風邪…ひいたのかな)」


こっそり額に手を当ててみると手よりも暖かかく、その事実に小さくため息をついた








「ジュード、顔赤いよ?熱でもあるんじゃない?」


ホームルームも終わり後は帰るだけという時にレイアが少し心配そうに話しかけてきた


「え…そう?」

「間違いないって。今日は早く帰ったほうがいいよ。ミラ達には言っておくから」

「うん…そうするよ、ごめんねレイア。また明日」

「じゃあねー」


そう言ってくるレイアの声を背中に受けて、ふらつきながらも教室を出て行く


「(心配…かけちゃったな…)」


そう思いながら家へと向かった










ふらつきながら帰って行くジュードが見えなくなると同時に私は大きくため息をついた


「……謝るより自分の体調気にしなさいよね、まったく」

「誰のだ?」


独り言に返事が返ってきたことに驚いて後ろを振り返ると、目の前には長い金髪をポニーテールにした女子生徒


「ってうわ、ミラいつからいたの?」

「さっきからいたが…それにエリーゼもいるぞ」

「ジュード…帰っちゃった、ですか?」


ミラの後ろから長めの髪をツインテールにしてランドセルを背負った少女が控えめに尋ねる


「ちょっと熱があるみたいだったから帰らせたんだけど……」

「ふむ…では今日は諦めるか」

「残念です…」

「うーん…無理しなきゃいいんだけど…」


ふらふらした足取りのジュードを思い出して私はそう呟いた












暗い部屋のベッドの上で誰かがうずくまっていた


「…っ…ぅっ……」


声を漏らさないよう手で自分の口を押さえていたその子供に見覚えがある


「僕……?」

「…とお、さ………おか…さ…」


ところどころ嗚咽で途切れているがそれだけでこれがいつの夢がわかった


「…怖い夢を…見た時の…」


あのときは怖くて怖くて、両親を呼ぼうともしたけど出来なくて。
独りで自分自身を抱えながら必死に耐えていた


「…こんなの…見たくない」


そう呟くと目の前の子供も部屋も消えていった








「…はぁ、…はぁ…」


目が覚めて視界に入った部屋は暗くて未だに夢の中かと思ったけど、さっきとは状況が違うことに気がつき息を吐いた
額に手を当てると更に熱くなっていて熱が上がったことにため息を吐く
辺りはまだ暗く起きる時間ではないが再び寝るには夢見が悪すぎた


「…………」


ベッドに三角座りをし、布団を羽織って暗い部屋を見つめた。

どのくらい時間が経ったのかわからないけど窓から差し込む光に気がついた。


「…今日も…眠れなかった…」


その光を見て自嘲を含んだ笑みを浮かべるとそう呟いた








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