貴方のキスが欲しいの

2012/03/03 02:14



僕とアルヴィンは恋人同士。アルヴィンから告白されて、僕もアルヴィンが好きだったからうれしくて泣きながら返事をした

だけど…


「最近のアルヴィン、僕と全然目も合わせてくれない…」

「(…やっぱり…僕が男だからなのかな…)」


僕はアルヴィンとキスもしたいし、恋人みたいなこともしたい
それにアルヴィンは僕の事を好きだって言ってくれた。その言葉を信じたい。


でも……


「(アルヴィンは女の人のほうがいいのかな……)」

その考えを隅にやろうと僕は頭を振って立てた膝に顔を埋めた






俺とジュードは恋人同士。
告白は俺からだがジュードは泣きながら了承してくれた。
やっと思いが伝わったと思ったらこんどはジュードの目を見れなくなった。
目を見たらキスしそうで、その先まで行ってしまいそうで。
そんなことしたらジュードに嫌われそうで……だからジュードの目を見れなかった







「ジュード、なんか目赤くない?」

「え?そ、そうかな…?」

「絶対そうだって!…どうかしたの?」


宿屋の片隅でジュードとレイアが話しているのが聞こえる
俺はジュード達に背を向けてその話を聞いていた


「別に、なんでもないよ。先に部屋に行ってるね」

「あ……もう!」


俺のそばを通ったジュードの顔を一瞬だけ見ると確かにレイアが言ったように目が赤くなっていた


「…………」

「アルヴィン君何か知らない?」

「いや?てかなんで俺に聞くんだ?」

「ジュードの事よく見てたからさ。最近はあんまりみたいだけど」

「よく見てるねぇ」

「だから最近アルヴィン君がジュードの目を見てないのも知ってるよ」

「なっ!」


いきなり核心をつかれたレイアの言葉に思わず背を向けていた体勢から勢いよく振り返った


「あたりでしょ?」

「まぁ、そうなんだけどよ」

「アルヴィン君が何を思ってるか知らないけど」

「?」

「目が合わないってジュードが寂しそうに言ってたの聞いちゃったんだ」

「そう、か…」


レイアは俺に根を突きつけて話を続ける


「ジュードを泣かせるようなことしたら許さないんだからね」

「肝に命じとくよ」

「あと……はい」


突きつけていた根を引いて代わりにだしてきたのはなにやら部屋の鍵。


「今日はジュードと同室ね」

「……」

「どうしたの?」

「いや…ありがとな」


渡された鍵を持って俺はジュードがいるであろう部屋へと向かった







「……っ…ぅ……」


電気もつけないで暗い部屋のベッドの上に膝を抱えて座る
緩みきった涙腺からは止まらない涙が流れ続けている。


「…ふぇ、……ぅ……っ……ある、…び…」


悲しくて、でもどこかで仕方がないと諦める声が聞こえてどうしたらいいのかわからなくなってくる


「…あるびっ、……ある、……」


そうやってアルヴィンを呼んでいると閉じていた扉が開いてアルヴィンが入ってきた


「…ある、びん…?」

「ジュード…?電気も付けずに何やってるんだ?」


長時間暗いところにいたせいで暗闇に慣れた目が照明に手を伸ばすアルヴィンを見つけた


「だめ!つけちゃ…」


止めることが出来ずに部屋は明るくなった








「ジュード…?」


明るくなった部屋でベッドに座りながらこっちを見て来たジュードを目には涙が溜まっていた
俺の声で我に返ったらしいジュードは向けていた顔を急いで立てていた膝にうずめた


「ジュード、どうしたんだ?」

「なんでもないよ、…なんでも…」

「何もないのに泣くわけないだろ」


ジュードに近付いてベッドの端に座るとそれだけでビクリと震えた


「なぁ、ジュード。どうしたんだ?」

「なん、でも…ないってば…」

「なんでもないなら泣くなよ」


俺に背を向けたままのジュードを背中から抱きしめた


「なぁ、話してくれよ。俺達恋人同士だろ」

「……のに?」

「え?」


小さい声が聞こえて聞き返したと同時にジュードが泣き顔のまま俺を振り返った


「こいびとっ、なのに……どうして…目も合わせてくれないのっ…?」

「!それは…」

「男同士だから…?やっぱり、女の人のほうが、いいから…?」

「ちがっ…」

「僕、は…アルヴィンと、キスくらいしたいよっ……ふぇ…」


泣きながら喋ったせいで途切れ途切れだったが確かに聞こえた


「(俺と、キスくらいしたい…だって?…そんなもん)」


子供のように泣くじゃくっているジュードの顔を両手で上げさせてそのままジュードにキスをした


「んぅ…///!?」


目の前のジュードは泣きはらした目を大きく開けていた
それからジュードの息が無くなるまで俺はキスを続けていた


「…ぷは……はぁ…はぁ…」

「キスするときは鼻で息すんだよジュード」

「…はぁ…って、さっきの…」

「んだよ、してほしかったんだろ?」

「なっ……///」

「ったく、俺は一生懸命我慢してたってのに」


口元を押さえて顔を真っ赤にしているジュードに近づき耳元で囁く


「お前が誘ったんだからな。明日から毎日してやるよ」

「ア、アアアア、アルヴィン!///」

「明日から楽しみだな」


涙目で俺を睨んでくるジュードにそう言って今度は額に軽いキスをした


「〜〜〜っ///」


「覚悟しとけよ?」



今まで我慢した分色々やらせてもらおうじゃないか


そう固く心の中で決めた


End






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