拍手連載2話

2012/02/18 00:03



今まで何年も通い続けて見慣れた道を歩いて学校へと向かう


毎日が同じ事の繰り返しで、感覚が麻痺しそうだった


そんな時、あの人に似たあなたを見つけた






「おまえらー席に座れ、出席取るぞ」


そういって教室に入ってきたのは見慣れた担任ではなく、白衣を着たずぼらな保健医。


「どうしてアルヴィン先生が来たんですかー?」


「担任が休み中に事故ったらしくてな。入院してる間俺が変わりの担任なんだと」


ずぼらな保健医はそう肩をすくめて答えると出席を取っていく




「ジュード・マティス」


「はい」


呼ばれ慣れない低い声にほんの少しだけ、昔のあの人を思い出した…












「ったく、事故ってなんなんだよ」


そう悪態をついて思い出すのは先ほどのこと


なんとか遅刻は免れたが職員室の扉を開けた途端目の前には用務員のような格好をした老人


「おわっ、びっくりさせんなよ」


「ほっほっほ、実はアルヴィンさんに頼みたい事がありまして」


「頼みたい事……?」


「3組の担任の先生が事故を起こしてしまいまして…しばらくアルヴィンさんに3組の代理担任をしてもらおうかと」


目の前の老人はほっほっほと笑いながらすごいことを持ちかけてくる


「は、ちょ、代理ってなんだよ。そもそも俺は保健医だろ」


「他に代理が出来る人がいないのですよ。ではお願いします」


そう言って俺に出席簿を渡してにこやかに立ち去る老人


「マジかよ……」


渡された出席簿を見下ろしながらため息をつく
ここにいても仕方がないと気だるい歩きで3組の教室へと向かった




「おまえらー席に座れ、出席取るぞ」


教室の扉を開けてすぐ中にいる生徒を声をかける
俺が来るのが珍しいのか、不思議そうな顔をする奴らがちらほら見えた


「どうしてアルヴィン先生が来たんですかー?」


「担任が休み中に事故ったらしくてな。入院してる間俺が変わりの担任なんだと」


肩をすくめて問いに答えると出席を取り始める
出席を取りながらふと教室を見回すと1人の少年に目を奪われた


黒い髪に琥珀色の瞳。つり目がちなその瞳は奥底に何かを隠しているようにも見えて、それが夢で見た子供を彷彿とさせた


「ジュード・マティス」


「はい」


この時からこの少年が気になって仕方なかった。










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