拍手連載1話
2012/02/18 00:01
「…っ……」
袖を捲りあげあらわれた白い腕にメスで傷をつける。
裂かれた傷口からは赤い液体がこぼれていき、幼い頃から衝動的に繰り返し続けた腕には治らない傷が残る
ポタリポタリと腕から落ちていく血を眺める
「痛い……」
その痛みでようやく存在してるのを理解するそれは幼い頃から繰り返し、もう癖になってしまった
しばらく流れる血を眺めた後傷口を消毒し、包帯を巻く
床に落ちた血を拭き取ると何事もなかったかのように制服に着替える
簡単な朝食を作り食べ終わると玄関へ向かい、誰もいないリビングを見る
そしてこれまた癖になっている笑顔を浮かべるとそのまま学校へ向かった
「だれ、ですか…?」
「あ、と…俺はアルフレドだ。お前は?」
「ぼくは……」
だいぶ昔の夢を見た。俺がまだ高校生だった頃の
あの時出会った少年が気になって仕方がなかった
年の割に物分かりがいい少年。
何かを必死に耐えているような顔をして、腕に厚い本を抱えて遠目から何かをみていた
その姿が痛々しくて。
夢で見たのはその時の光景だったが、少年の名前が思い出せない
「…なんて名前だったんだ……?」
ベッドに仰向けになり、天井を見上げながら考える
「……ダメだ、思い出せない…」
そのまま目線を横にずらし、時計を見て唖然とする
「やべぇ!新学期早々に遅刻しちまう!」
慌ててベッドから起き上がり支度を整えていく
支度を終えて家を飛び出した時には先ほどの夢のことは忘れていた
後書き
前へ | 次へ
コメント
|