甘い香りに混ぜるのは

2012/02/14 01:18



甘い甘い香り


その香りに混ぜるのは









「……これでよし、と」


僕の目の前には綺麗にラッピングされたチョコレート。
予定されていた研究や実験の合間を縫って今朝から作った手作り。


「アルヴィン受け取ってくれるかな…」


少し不安だけど今日アルヴィンに渡す為に作ったチョコレート
それを眺めていると扉のノック音と共にアルヴィンが部屋へと入ってきた


「よっ、ジュード」

「アルヴィン!…早かったね」

「早く帰ってきたからな」


そう言って笑いかけてくるアルヴィンに僕もつられて笑顔になる


「なんかジュードの部屋、甘い香りがしないか?」

「あ、えと…ちょっと、ね」

「何かやってたのか?」

「えと、その…アルヴィン」

「ん?」


笑って聞き返すアルヴィン。


「あの…これ」

「ん?…チョコレートか?」

「そう。…今日、その…バレンタインデーだから…」


ふとみあげたら顔を赤くして口元を手で隠しているアルヴィン


「アルヴィン…?」

「…不意打ちすぎるだろこれは」

「え?…わっ!」


よく聞こえなくて聞き返そうとしたらいきなりアルヴィンに抱きかかえられた


「ア、アルヴィン!?」

「俺今すっげー嬉しい」

「チョコ1つなのに…?」

「手作りだろ、これ。今食べていいか?」

「うん、どうぞ?」


そう答えるとアルヴィンは僕を抱えていた腕を放してラッピングされたチョコレートを開いていく
中には小さな丸型のトリュフチョコレート


「いただきます」

「ふふ、どうぞ召し上がれ」


嬉しそうにチョコレートを食べるアルヴィンを見ていると僕まで嬉しくなる。
作ってよかったと心から思った


「流石ジュードだな。チョコも美味い」

「そう?よかった」

「ジュードも食べるか?」

「え?…いいよ悪い、んっ!?」


断ろうと口を開いた途端、アルヴィンがキスをしてきた


「んっ…ふ……んんっ」


アルヴィンの口から柔らかくなったチョコが僕の口の中に流れてきた

ちょっと甘かったかな……ってそうじゃなくて!


「ぷはっ…」

「どう?味の方は」

「いきなりキスしてきたから、わかんないよ!///」

「じゃ、もう1回やる?」

「や、やらないよ!///」


意地悪な顔をして笑うアルヴィンから顔を背ける
すると忙しい合間を縫って作っていたせいか、小さく欠伸をしてしまった


「眠いのか?」

「ん…ちょっと最近あまり寝てなくて」

「じゃ、寝ないとだな」

「でも…アルヴィンがいるのに…」

「チョコとキスもらったからな、大丈夫だよ」

「わっ…」


軽々と僕を横向きに抱きかかえたアルヴィンは僕をベッドに横にして、そのそばに寝転んだ


「ほら、寝ちまいな」

「う…ん」


頭を撫でられるのが気持ちよくてそのまま夢の世界へ意識をとばした


「お返し、楽しみにしてろよ」



眠りに落ちる前にそう聞こえたような気がした







甘い甘い香りに混ぜたのは

         あなたへの大切な思い









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