アルジュ

2012/02/10 23:57


「僕ってどう思われてるんだろ…」

誰に言うでもなく呟く。実際、今家にいるのは僕1人だけど
少し広いこの家は僕の家ではなくて今はいないアルヴィンの家だ。



実家からは遠い学校に通う為に1人暮らしをするはずだったんだけど、父さんや母さんに反対されて。どうしてもと頼んだら父さんの知り合いの家にならってことでようやく許してもらえた

この父さんの知り合いっていうのがアルヴィンなんだけど、このアルヴィンについて僕は悩んでる

アルヴィンへの気持ちに



一目惚れだった…と思う。半年前にここへ来て初めて会った時から惹かれていた。
最初は憧れなんじゃないかとか色々考えてみたけど、全部違った。
残った選択肢は認めたい感情と、認められない常識だった

そして最初の呟きに戻る
アルヴィンは僕をどう思っているのか、


「ただの同居人だよね…」


考えなくてもわかること。アルヴィンにとって僕はただの同居人にすぎない。


「もう、諦めた方がいいんだよね…」


柔らかいソファに丸くなって横になると急に眠気が襲ってきた。


「(ご飯の用意はしてあるから、ちょっとくらい寝ても…)」


襲ってくる眠気に勝てずそのまま目を閉じた







何かが自分の頭をなでているような感じがする


「んっ…」

「起きたか?ジュード」


目を開けると目の前にアルヴィンがいた


「…え…アル、ヴィン?」

「どうかしたか?」

「え、あ、ううんなんでもないよ!あ、ご飯用意するね」

「ああ……」



ーよかった、上手く誤魔化せたみたいー

そう思いつつ用意のために台所へ向かった




「ごちそうさまでした」

「もう、食わないのか?」

「あんまりお腹すいてなくて…寝ちゃってたし
 部屋にいるから」


普段より多くご飯を残した僕を見て不思議そうに聞いてくるアルヴィンにそう切り返した






「ふぅ…」


部屋に入ってベッドに座っているとノックの音が鳴って扉が開いた


「ジュード、今大丈夫か?」

「アルヴィン…?どうしたの」

「ちょっと用があってな」


僕に用…違うわかってるけど頭の隅で何か期待してしまう


「用って何?アルヴィン」

「いや、大したことじゃないんだけどな…」


そう言ってどこか照れくさそうにしているアルヴィン。
不思議に思ってアルヴィンを見ていると僕の方へ近づいてきた


「…アルヴィン?」

「俺、ジュードの事が好きだ」

「…ぇ…」


一瞬聞き間違いかと思った。
だってアルヴィンが僕を好きだなんて


「最初に会った時から、な」

「う…そ…」

「ジュード?」


視界が滲んで何かが頬をつたって落ちていった


「…ごめんな、いきなりこんなこと言ったら困るよな。忘れてくれ」


ー違う、そういうんじゃなくて
ーそんな悲しい顔しないで!


そう思った途端出て行こうとしたアルヴィンに後ろから抱きついた


「待って、アルヴィン!」

「ジュード…?」

「僕も…僕も…」


ー言わなきゃ、今言わなきゃ!


「僕もアルヴィンが好きだよ!」

「っ!……ホントか?

「僕も初めて会った時から…わっ」


意を決してアルヴィンに伝えていると振り返ったアルヴィンに思い切り抱きしめられた


「じゃあ俺達両想いだったんだな」

「みたい…だね」

「なんで泣いてるんだよ」

「別に、なんでもないよ///」


そうかと言って笑うアルヴィンをみているだけでなんだが幸せな気分になった







後書き

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