1年間だけの恋エピローグ

2012/01/09 20:08



俺が傍にいてやるーーー……
そしたらもう独りぼっちじゃないだろ?

夢で見る“あの人”はそう言って僕を抱きしめてくれる
僕にとってとても大事な人だったのか、この夢を見た日は起きたら僕はいつも泣いている

今日もまた、僕は泣いていたみたい



ーーーーーーーーーーーーーーー……………






「んっ…」

目を開けた僕の視界は涙でぼやけていてよく見えなかった


「また、あの人の夢…」

幼い頃から時々見ていた“あの人”に抱きしめられてる夢
あの人が誰なのか名前も思い出せない

「誰なんだろ…」

そう思って思い出そうとしてみるけどやっぱりなにも思い出せない
ただ寂しいと思った日には必ずあの人の夢を見ていた


「…学校にいかないと…」

しばらくベッドの上で考えていたけど今日から新学期になる学校のことを思い出して、夢のことは頭の隅に追いやった






始業式も終わっていつもの日課になっている図書室へ向かうと持っていた荷物を机に置いて本を探しにいく

「この本は読んだ…こっちは前に…」

そう独り言を呟きながら本を探していると少し高いところに目当ての本を見つけた

「あった…!(でも取れるかな…)」

届くかわからなかったけど背伸びをして手をのばすと本の背表紙に届いて少し安堵する
そのまま引っ張ろうとした時、足がよろけてバランスを崩した

「うっ…わ…!」

取ろうとした本が尻餅をついた僕に落ちてくる
とっさに頭を手で守るように抱えた


「……?」

いつまで経っても衝撃が襲ってこなくて恐る恐る顔を上げてみると

「怪我はないか?」

白衣を着た男の人が落ちてきたらしい本を持って僕を見下ろしていた

「あ…えと、はい…」

「そっか」

そういって僕を立ち上がらせると男の人は本を差し出してきた

「これ取りたかったんだろ?」

「あ、…ありがとうございます」

本を受け取ってお礼を言うと男の人に頭を撫でられた

「高いとこにあるのを無理に取ろうとすんなよ」

撫でられた頭が心地よくて、いつものあの夢を思い出す


ーあの人もこうやって撫でてくれてたな……
あの人の名前は…名前は…確か…



「アル、ヴィン……」

あの人の名前を言った途端撫でていた男の人の手がぴくりと動いた

「…どうか……しました?」

「覚えてるのか?」

「…え…?」

「俺だよ、アルヴィンだ」

「え…?」

よくわからなくて混乱していたけど男の人ーアルヴィンーに抱きしめられて、夢を思い出す

「じゃあ…アルヴィン、なの…?夢の中のあの人は…」

「ああ…ようやく会えたな、ジュード」


アルヴィンに名前を呼ばれて目から一筋の涙が零れた

そうだ、思い出した。
僕はーーー




「アル、ヴィンっ……!」


アルヴィンの背中に手を回して抱きしめあった








どこかで“ようやく会えた”と嬉しそうな声が聞こえた気がした



End










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