1年間だけの恋BJ視点

2011/12/24 16:14


※注意書き
ゲーム内でもなく現パロでもないよくわからない設定
暗殺組織に所属してるアルヴィン(26)と
癒しと破壊の能力を持ってるジュード(15)
な設定です。
一応シリーズもの
それでもいい方はどうぞ








誰かと一緒にいるのが楽しい、暖かい、嬉しい……
そう思えたのは本当に久しぶりだった

この10年間ずっと独りぼっちだった僕に手を差し伸べて小屋から連れ出してくれた…
3ヶ月前アルヴィンと初めて夏祭りへ行ってこの想いを、感情を失いたくないって思った。
だからなのかな…アルヴィンがそばにいないと胸が苦しくなる


僕のこの感情はなんなんだろう……






「ふぅ……」

アルヴィンと出会ってから半年以上経った
街へ出れない僕のかわりにアルヴィンが買い出しをしてくれるようになって、その間に小屋の掃除をするのが習慣になっていた

「ここも終わったから……よし、掃除終わり」

手に持っていた雑巾や箒、ちりとりをしまうと一息つく

「そろそろアルヴィン帰ってくるかな…」

時計を見てそうつぶやくとなぜか胸がドキドキしてくる
最近掃除が終わってアルヴィンの帰りを待つ間にこんな症状が出てくる

「まただ…どこか悪いのかな…」

考えても考えても答えは見つからなくて、結局いつもベッドに座ってアルヴィンの帰りを待っている
そしてアルヴィン帰ってくると不思議とドキドキは消えているのだ





「ただいま、ジュード」

「あ、お帰りアルヴィン!」

ベッドに座って俯いているとアルヴィンが帰ってきて、ただそれだけなのに嬉しくて笑顔で出迎える

「……っ///」

顔を赤くして言葉に詰まるアルヴィン
覗きこむように顔を見て名前を呼んでみる

「アルヴィン?」

「!…いや、なんでもねーよ?それよりほら買ってきたぞ」

「うん、ありがとう」

アルヴィンから袋を受け取って中身を確認しながら取り出す

「ルーに豆腐、ひき肉…ねぎ……今日はマーボーカレーにでもしよっかアルヴィン」

「お、頼むわ」

すぐに頭に浮かんだ料理を作るために必要な食材だけ持ってキッチンへと向かう

「(アルヴィン、今日も喜んでくれるといいな…)」

そう思って少し緩む頬を押さえながら調理を始めた







――――――………







「ごちそーさん、やっぱジュードの飯は美味いな」

「お粗末さま。そう?そう言ってくれると嬉しいな」

そう言ってくれるアルヴィンに少し照れながら笑いかける
食べおわったお皿をキッチンへと運んでいるとアルヴィンが話しかけてくる

「なぁジュード」

「なに?アルヴィン」

「ちょっと話があるんだ」

「話?」

片付けの途中だったけど、キッチンに皿を置いてそのままアルヴィンに近づいていく

「話ってなに?アルヴィン」

「ジュード…」

「うん」

「俺、ジュードが好きみたいだわ」

「…ぇ…?」

アルヴィンが、僕を好き……?
何を言ったのかわからずまばたきを繰り返す
そしてやっと頭が理解したのか顔が真っ赤になる

「ぁ………ぇ…///」

驚きすぎて言葉にならない単語しか喋れなくてそのまま俯く

「…………」

「(アルヴィンが、僕…を好き…?…本当に…?)」

頭は混乱しているけど、すとんと何かが胸に落ちた

「(そっか…この感情は、好きってことだったんだ…)」

自覚するとすごく恥ずかしくて、顔が真っ赤になる
ずっと俯いていた僕にアルヴィンの少し震えた声が聞こえる

「―ごめんな、いきなり変な事言って。話はそれだけだから…」

目線を上げるとアルヴィンは少し寂しげに笑って背を向け、外に出ようとした


「(行かないで…!)待って…!」

「ジュード…?」

そのままアルヴィンがどこかへ行ってしまいそうで、そう思ったら勢いよくアルヴィンの背中に抱きつき自分の想いを伝える

「…ぼ、…僕も……その…」

「ア…アルヴィンのこと…好き…だよ…///」

アルヴィンのコートを力いっぱい掴んで小さな声でつぶやく
途端にアルヴィンは勢いよく振り返ってきて僕を抱き締める

「ア、アルヴィ「よかった…」…え…?」

「両思いだったんだな俺ら」

「う、うん…///」

すごく恥ずかしかったけど嬉しい気持ちの方が強くてアルヴィンに抱きつく

「これからも一緒にいてくれるか…?」

「あ、当たり前だよ!…ずっと一緒にいよう?」

「ああ、そうだな…」



そのまま気が済むまでアルヴィンは僕を抱き締め続けた
ずっと欲しかったこのぬくもりは無くしたくないと思った








アルヴィンが僕に気持ちを伝えてから1週間経った


「じゃあちょっと行ってくるな」

「うん、あんまり遅くならないでよ…?」

「わかってるって、ジュードを置いていったりしねぇよ」

少し不安げにアルヴィンに言うと僕の頬に触れるだけのキスをする

「…っ…〜〜///」

「ははっ、真っ赤」

「もうっ、早く行きなよっ!///」

「可愛いなホント。じゃ、行って来るな」

顔を真っ赤にして押し出すように扉を閉めると扉の向こうからアルヴィンがそう言ったのが聞こえた






アルヴィンが出かけてから少し経った後

「そうだ、果物を採りに行こうって思ってたんだった」

すっかり忘れてた…いつも果物を採りに行く時に使ってたかごを部屋から見つけるとアルヴィンか寒くないようにと買ってきてくれたマントを羽織る

「さてと、じゃあ行こうかな」

準備を整えるとかごを持って小屋を出て裏手にある森へと向かった




「これはジャムにすると美味しくて…こっちは凍らせるといいんだよね」

いつも果物を採っている場所へ行き手の届く範囲の果物を採っていく

「あれ、あの子は…」

粗方採り終わった時近くの枝に見覚えのある白い鳥がとまっていた
僕に気付くと枝から僕の肩へと移ってきた

「よかったちゃんと飛べるようになったんだね」

肩にとまって僕の指に顔をすり寄せる
すると何を思ったのか肩から飛び上がり森の奥へ飛んでいく

「?…ついてこいってこと?」

少し悩んだけどあの鳥がどうしても気になって後を追い掛けた

「こっちであってたかな…どこ行っちゃったんだろ」

追い掛けていた鳥を途中で見失っちゃって森の中を歩き続けていた

「見当たらないし…今日はもう帰ろうかな」

そう言ってかごの中身を確認して帰ろうと足を動かした時

「なんでおまえがここにいる」

アルヴィンの声が聞こえた

「アルヴィン……?」

「なんでって、自覚ないの?」

「………」

少し離れた場所でアルヴィンが知らない男の人と話していた

「仕事を受けてもう半年以上。アルフレドにしては時間がかかりすぎって事になってね…僕がここに来たってわけ」

その場から帰ろうにも足が動かなくて近くの木にもたれかかる

「で?なに、今まであの子と暮らしてたの?殺す相手なのに」

「それはっ……」

「(殺、す…?…アルヴィンが…僕を…?)」

「ふーん、…僕はどうでもいいけど叔父さんはどう思うだろうねぇ」

「…………」

「で、どうすんのこれから?」

「それは…」

「アルフレドがやらないなら僕がやっちゃうよ?」

「…いや…俺がやる…」

アルヴィンのいつもより低い声にもたれかかった僕の体が僅かに震えた

「そう?じゃあしっかりやってね。……あまり時間もないだろうし」

「…ああ…」

「じゃあそういう事だから、僕は帰るけどちゃんと仕事してよね」




話が終わったのか誰かが去っていく音がする
アルヴィンに気付かれないように必死に気配を殺しながら森を出る
小屋に近づいたところで足を止めた

「(アルヴィンは…最初から僕を殺すために…
だからアルヴィンは…僕と接してくれたのかな…でも…それでも…)」

「それでも僕は、アルヴィンといたいよっ…」


そう言ってその場に座り込んで、ほんの少しの間だけ涙を流した





「あなたが僕を殺しに来た事なんてどうでもいい、けどいなくならないで」

「だって初めて僕に関わってくれた人だから…」



続く








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