1年間だけの恋BA視点

2011/12/23 10:23


※注意書き
ゲーム内でもなく現パロでもないよくわからない設定
暗殺組織に所属してるアルヴィン(26)と
癒しと破壊の能力を持ってるジュード(15)
な設定です。
一応シリーズもの
それでもいい方はどうぞ







「ありがとうアルヴィン、今日僕をここに連れてきてくれて」


「アルヴィン、花火だよ!」





あの時のジュードの笑顔が脳裏に焼き付いて離れない

あれから3ヶ月も経っているのにおさまるどころか日に日に強くなっていくジュードへの思い
何度もその気持ちを捨てようとしたが捨てられなかった
俺がなにをしにここに来たのかを自分に言い聞かせたがそれも無駄だった

今の俺には組織の事や任務なんでどうでもよくなっていて、
ただジュードに隣で笑っていてほしかった





「はぁ…」


ジュードと暮らしてから習慣になっている買い出しを終え、俺はため息をつきながら通い慣れた小屋へと帰る道を歩く

「こんな事になるなんて思いもしなかったもんな」

ジュードと出会う前はこんな感情知らなかった
誰かを愛しいと思うこんな気持ちも。
だが本来は任務さえなければ出会うこともなかった
このまま任務も組織も忘れられたら――…

そこまで考えて小屋まであと少しの距離まで歩いていた足を止め

「俺はジュードと一緒にいたい、その気持ちは変わらない」

半ば自分に言い聞かせるように呟き、そう心に決めた



「ただいま、ジュード」

「あ、お帰りアルヴィン!」

掃除も一通り終わらせたのかベッドに座っていたジュードが顔をあげて笑いかけてくる
ただそれだけなのに

「……っ///」

顔が赤くなっていく自分に少し情けなくなる

「アルヴィン?」

「!…いや、なんでもねーよ?それよりほら買ってきたぞ」

「うん、ありがとう」

俺から袋を受け取って中身を取り出していくジュード

「ルーに豆腐、ひき肉…ねぎ……今日はマーボーカレーにでもしよっかアルヴィン」

「お、頼むわ」

必要な食材だけ持ってキッチンへと向かうジュードを見ていると先ほど心に決めた事を思い返す


ジュードに笑っていてほしい、一緒にいたい。
そう思えば後は早かった

「(今日…伝えるぞ)」

そう俺に背を向けて支度をするジュードを見つめてそう腹を決めた






――――――………







「ごちそーさん、やっぱジュードの飯は美味いな」

「お粗末さま。そう?そう言ってくれると嬉しいな」

そう言って照れたように笑うジュード

…よし、今なら言える


「なぁジュード」

「なに?アルヴィン」

「ちょっと話があるんだ」

「話?」

片付けの途中だったジュードを呼ぶとキッチンに皿を置いてそのまま俺に近づいてくる


「話ってなに?アルヴィン」

「ジュード…」

「うん」

「俺、ジュードが好きみたいだわ」

「…ぇ…?」

目の前に立つジュードが驚いたようにまばたきをするやがて理解したのか顔を真っ赤にさせた

「ぁ………ぇ…///」

よっぽど恥ずかしかったのか言葉にならない単語を言いそのまま俯いた

「…………」

今更になって思う

「(待てよ……俺はジュードの事が好きだがジュードが俺の事をどう思ってるのかまったく考えてなかった…)」

気持ち悪がられたんじゃないだろうか――……
そう思うとなんだか怖かった

「―ごめんな、いきなり変な事言って。話はそれだけだから…」

笑って背を向け、外に出ようとした時


「待って…!」

「ジュード…?」

俯いたままだったジュードが俺の背中に抱きついてきた

「…ぼ、…僕も……その…」

「ア…アルヴィンのこと…好き…だよ…///」

俺のコートを力いっぱい掴んで小さな声で伝えてくるジュードに愛しさが溢れる
勢いよく振り返ってジュードを抱き締める

「ア、アルヴィ「よかった…」…え…?」

「両思いだったんだな俺ら」

「う、うん…///」

照れながらも嬉しそうに抱きついてくるジュードに笑みがこぼれる

「これからも一緒にいてくれるか…?」

「あ、当たり前だよ!…ずっと一緒にいよう?」

「ああ、そうだな…」



そのまま気が済むまでジュードを抱き締め続けた
このぬくもりだけは失くしたくなかった








ジュードに気持ちを伝えてから1週間経った


「じゃあちょっと行ってくるな」

「うん、あんまり遅くならないでよ…?」

「わかってるって、ジュードを置いていったりしねぇよ」

そう言ってジュードの頬に触れるだけのキスをする

「…っ…〜〜///」

「ははっ、真っ赤」

「もうっ、早く行きなよっ!///」

「可愛いなホント。じゃ、行って来るな」

顔を真っ赤にして押し出すように扉を閉めたジュードにそう伝えて街へと向かう



小屋を出て少し歩くと見知った鳥が舞い降りてくる

「っ!?…あれは…!」

俺の腕にとまる鳥を見ていると後ろから声がかかる

「やぁ、アルフレド。元気にしてた?」

「バラン…」

聞き覚えのある声に後ろを振り返ると見知った眼鏡をかけた優男が立っていた

「ここじゃなんだから場所を変えようかアルフレド
あっちの森がいいかな」

それだけ言うとさっさと森へ行ってしまう男

「…っ…」

俺は何も言えないままおとなしく後をついていった




「なんでおまえがここにいる」

「なんでって、自覚ないの?」

「………(ないわけがない)」

「仕事を受けてもう半年以上。アルフレドにしては時間がかかりすぎって事になってね…僕がここに来たってわけ」

やれやれと言いながら俺と向き合うバラン

「で?なに、今まであの子と暮らしてたの?殺す相手なのに」

「それはっ……」

「ふーん、…僕はどうでもいいけど叔父さんはどう思うだろうねぇ」

「…………」

「で、どうすんのこれから?」

「それは…」

何も答えられず気まずいままバランから目を背ける

「アルフレドがやらないなら僕がやっちゃうよ?」

「…いや…俺がやる…」

「そう?じゃあしっかりやってね。……あまり時間もないだろうし」

「…ああ…」

「じゃあそういう事だから、僕は帰るけどちゃんと仕事してよね」

それだけ言うとさっさとバランは帰っていった
その場に残された俺は唇を噛みしめ悪態をつく

「くそっ……」



どうすりゃあいい、このままではどうなるかわからない
けどジュードを殺すことなんて


「できねぇよ…俺には…」

力任せに近くの木を殴る

木がゆれる音が響く中、俺はうなだれたように立ちすくんでいた






「俺にはジュードを殺すことなんて出来ない」


「だけどこのままじゃ…守れない…」


続く








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