[> 世界とあなたとの共有点






(学生パロディ)


最近めっきり寒くなってきた、とくに帰りは堪える。そんなことをかすがと靴を履き替えながら言い合っていれば、渡り廊下に白い息が見えた。

「あ、石田くんだ」
「うん?ああ、本当だな」

スラッとし過ぎの石田くんを発見する。ここ(下足室)から渡り廊下までは少し距離があるので挨拶はしない。しかし、彼はいつ見たって不健康そうだ。

「かすが、かすが」
「どうした名前」
「石田くんって見てて居たたまれない気持ちにならない?」

石田くんが廊下を渡りきった。階段を下りる姿がチラッと見えた。

「居たたまれない?」

かすがが爪先をとんとんと地面に叩きながら尋ねる。私はうん、と返事した。

「お弁当が、私よりも小さかった」
「ああ、そういえばそうだったな。」

かすが嫌そうな顔をした。そんな顔を見たあとに渡り廊下の方へ視線を戻すと、階段を降りきったらしい石田くんと目が合った。今日は大凶なのだろうか。一瞬で私が目を反らした。

「名前は一緒でも石田と一緒のクラスは嫌なものだな」
「うん。でも」

チラッとまた石田くんの歩いていた所を見る。彼は静止してこちらを見ていた。…ああいう、ゾンビいたな。

「私、石田くんのこと嫌いじゃないから大丈夫。うん。彼は良い人だよ。多分」

多分。もう一度繰り返せばかすがが石田くんのいる方を見た。チラッとじゃない、ガン見だ。

「……そうか、良かったな」
「うん。…かすが、何で目を合わせてくれないの?」
「反らしたら負けだからだ」

どうやら動物みたいな勝負を始めたらしい。可愛いね二人とも。

少し石田くんを盗み見れば、何故だか私と目が合った。かすがとの睨み合いは終わったらしい。

「おい」

声をかけられた。なに?首を傾げれば石田くんがこっちに向かって歩いてきた。かすが、守って!
少し私が後退すれば、石田くんは速度を速めた。ひぃ!心の中で悲鳴。

「おい、そこの女」

私かと思えば石田くんの視線はかすがだった。

「なんだ」
「うるさいぞさっきから」
「ふん」

かすがが腕を組んだ、ご立腹か。大変だなーと二人を見ていれば、石田くんが私を見た。あっ、小言言われそう。

「…おい」
「あの、ジロジロみてごめ」
「名字」

石田くんと目が合った。

「…もう、外は暗い」
「うん、うん?」

頷いたあとに気が付いた。彼は興味のない人間を認識しないのだ。おまけにあの言葉だ。私は思わず自分の脈を計った。いつもより早かった。どうしよう、私、石田くんにときめいた。







三成くん→かすが邪魔。名前と呼びたいけどきっかけがない
かすが→お前に名前はやらん
名前さん→三成くんは好きでも嫌いでもなんでもない。

要するに三成くんの片思い話しです。

 

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