[> 可愛くない |
むうっと頬を膨らませば、目の前でぷかぷかと浮いている大谷さんはヒッヒと笑った。 「これは卑怯だ」 「何が卑怯か」 「年端も行かぬ女子をこんな」 こんなと云う言葉で表した今の状況に、また大谷さんが笑った。 「そうよな、卑怯よな」 むっと手元を見る。 「これで名前の十三敗目か」 「うわあ!もう!大谷さんは何でそう…もう!」 また負けた。囲碁で。 嫌々、まあ始めっから勝とうなんざ思ってない。でも手加減してくれるとは思ってた。思うだろう!誰だって思ってしまうでしょ! 「私、多分これが一般的な意見だと思うんだ!大谷さん大人気ない!」 「何か言ったか小娘」 「ほらね!」 うわーんと後ろへ倒れれば、前の方からまた笑い声がした。 「不貞寝するのです。おやすみなさい大谷さん!」 「休むのか」 「休むのです。大谷さんのせいで壊れた心だから。」 「ほう」 ごろんと寝返りをうつ。こっそりと大谷さんを見れば包帯に隠れた唇が弘を描いていた。 「愛らしくないな名前も」 大谷さんの態度の方がね! 大谷さんは名前さんをからかって遊んでて、名前さんも大谷さんをからかって遊んでる。みたいなのを書こうとしたらこうなりました何故だ。 ←|→ |