[> In una gabbia |
(吉継さんもヒロインもテンションおかしい) ガチャン、そんな音に瞬きすれば、笑顔の大谷様が見えた。 「久しいな名前」 「お久しぶりです大谷様」 ご機嫌麗しゅう、そうふざければ嫌みなと大谷様は笑まれた。 嫌み、確かに嫌味かも知れない。 「逢わない合間にまた貴男様は細くなられた」 「なに、ぬしも人のことは言えぬ体躯よ。」 「まあ、よくおっしゃいますね」 右手を口元にやり笑む。大谷様はゆっくりと一度瞬きした後、鉄の格子に手をかけた。 「名前」 「はい」 「ぬしには手をやく」 「大谷様には手をやきますよ」 「左様か。口が立つ」 「ええ、それだけが取り柄です。」 そっと大谷様の手に自分の手を置く。 私の手は十二分に醜い。包帯の白に反して余計にそう感じる。 「名前、ぬしの手はキレイよなァ」 「はい?」 「なに、戯れ言よ」 大谷様の指に自分の指を絡める。そうですか、胡乱に返しながら自分の頬に大谷様の手の甲をくっつける。 「温かい?」目蓋をうっとりと閉じながら尋ねれば、大谷様はゆっくりと頷いた。 「温かい、温かい。むしろ我には燃ゆるよう」 「ふふ、それは大変です」 離しながら答える。 「でも私に貴男が殺められるなんて素敵な御伽噺ですね」 大谷様が格子の向こうで笑った。 「分からぬ、我がぬしを殺めるやも知れんぞ?」 「それも素敵ですよ。後から来て下さるのでしょう?」 「さて」 「まあ、意地悪。」 格子の向こう側で笑う大谷様の腕を掴んだ。 「意地悪は嫌いです」 「ぬしは我を厭うか」 「まさか、」 ただの戯れ言ですよ。唇を意図して上げれば、大谷様が声を出して笑われた。 E 'un problema! Saro nella gabbia con? どちらが格子の奥に閉じ込められていて、どちらが格子の向こうで自由なのか分からないように書きたかったのです。 不発に終わりましたが! ←|→ |