[> 指先で恋をする |
(石田夫婦) (ヒロイン盲目) 縁側に腰掛けて日向ぼっこしていると、突然背中が暖かくなった。 「三成さん?」 肩を触れば、厚手の羽織りが掛けられていた。 「風邪をひくぞ」 「ひきませんよ。お日様、暖かいから」 「…太陽か」 隣に腰掛けた気配にそちらを向く。どうかなさいましたか、そう尋ねれば三成さんは嫌と呟いた。 「気にするな」 「そうですか。」 「名前」 「はい?」 ひやりと冷たい三成さんの指が私の手に触れた。 「私を裏切らないと誓え」 「目が見えない者に裏切ることなど不可能ですよ」 「本当か?」 「本当ですよ。それに」 少し伏けば、ぎゅっと手を握られた。 「こんな人間を愛してくれる人、三成さんしか居ないのに」 どうして裏切られましょう。手を握り返せば、三成さんが私の肩に頭を乗せた。 「名前、私にはお前が必要だ」 「はい」 見えないながらも三成さんを見れば、ぎゅっと抱き寄せられた。 三成さんの腕に私の手を乗せる。暖かい、昔に三成さんは冷たい人だと聞いたことがあった。この人はこんなに暖かく優しい人なのに。 「三成さん」 「どうした」 「愛しています」 「知っている」 「三成さんは?」 「言わせるのか」 三成さんの指が頬を撫でた。くすぐったいですよと笑めば、そうかと心地の良い低音がした。 「名前」 「はい?」 「愛している」 頬が触れた。 優しい接吻は、なんともこの人らしい。 指先で恋をする 誰だこの偽物臭い三成は、とか思ったら負けです。書いた本人が思いましたがゲフンゲフン ←|→ |