[> 甘え |
(大谷さんが乙女) さっきから窮屈で仕方がない。私はその原因にさて抗議の声を上げようかしらと弱く睨む。 「如何した名前」 「大谷さん、邪魔です」 「気にするな」 「気にします。」 退け、私の腰から手を離せ!と丁寧に言えば、大谷さんはじっと私を見た。 「何か?」 「短気は損気とは良く言ったものだと」 「ああ、はい。三成さんのことですね」 「なに、ぬしのことよ」 「うん。私、大谷さん嫌い。」 はあ、溜め息を吐けば大谷さんが私の背に顔を埋めた。さっきから何やねん。 「名前、ぬしは離れて呉れるな」 「嫌です。私、今から陽向で書見するのです。邪魔は、させない!」 「邪魔する、日の出る合間は我に付き合え」 「嫌だー。陽向で書見ー」 「させぬ。」 ますます強い力で抱き締められた。腰にある手をそっと撫でれば、大谷さんが私の手を握った。 「…大谷さん」 「如何した」 「書見…」 「ならば膝の上でいたせ」 「でもあなた、お日様嫌いでしょう」 「ぬしが我の目を覆えば良い。我から光を退ければよい」 そんな無茶な。なら私と大谷さんが向かいあって座ることになるじゃないか、嫌過ぎる。 嫌ですよ、意思表示に手を叩けば、大谷さんがヒヒッと笑った。 「素直、素直。ぬしは愛いな」 何が書きたかったって書いた本人もわかっていないのですが、多分大谷さんに甘えてもらいたくて書いたのかしらと思います。 ←|→ |