[> 十八時〜十九時の間






(こんな三成嫌だ)
(現代パロディ)





パチリと点いた電気を確認してからペンを執る。十八時四十六分、昨日より二分と三十五秒遅い帰宅に首を傾げる。メモ帳を捲れば一週間前の事が記されていて、ああなんだと納得した。電車通学の名前はダイヤ編成のせいで最近遅かったのだろう。納得と共に安心した。

「三成くん」

呼び声にメモ帳をなおした。

「お帰りなさい姉さん」
「ただいま。ご飯できたって」
「私は」
「ご飯できたって」
「…はい。分かりました。」

渋々頷けば姉さんがにっこりと満足気に笑った。

「みっちゃんは細いから食べないと駄目だよ。」

部屋を出て階段を下りながら姉さんが発した言葉に反論する。

「私は食が細い、姉さんも知ってるでしょう」
「うん。だから余計に心配なんだよ」

ふらふらしてるじゃない。姉さんの一言に眉間が狭まる。

「私は頼りないですか」
「うん。」
「酷い言い草で」
「大谷さんが居なきゃ誘拐されてそうじゃない。みっちゃんって」

眉間がよけい狭まった。刑部の名は今聞きたくない。聴きたくない。

「姉さん」

先に階段を下りきっている姉さんを見る。なに、首を傾げた姉の腕を掴む。

「どうしたの三成」
「いえ、別に」
「そう?」

悟ったように微笑した姉にまた眉間が狭まる。
私はあなたの何事も知らないのに、あなたばかり全て知ったように笑むのだ。腹立たしい、きっと私の行動も気持ちも知っているのだ。知っていて、

「姉さん、名前姉さん」

名前を呼べば嬉しそうに笑う名前と目があった。


十九時八分、私と名前は昨日より五十五秒遅くリビングに入った。





当初は気持ち悪いストーカー三成だったのですが、進める内に近親愛に目覚めた学生になりました。きっと厨二病をこじらせたのです。


 

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