[> 秘密






(先に謝りますごめんなさい)
(まさかの学パロ)
(大谷先生ー、クラスメート毛利くん)
(微裏である)
(…微裏である)










「っ、ん」

図書室の自習席、放課後はテスト期間でない限り滅多なことでは人が寄り付かない。静か故に気に入ってよく利用していた。
その日もさて現代文の復習でもしようかと自習席へ行けば、本棚と机の仕切りで見えにくくなった一番端の席からくぐもった声がした。

ちらりと少し目線を遣る。別段注意する気も起きない。携帯電話でも利用しているんだろう、そう決め付け隣の席へ座ろうと足を進める。

「はあ」

そんな吐息に、声の主を見ようと試みた。

「おい、隣りに…」

思わずかけた声を止める。目が合った顔に見覚えがあった。

「あっ」

お互いに声を漏らす。名字名前、大谷のことを何故か好いている女。見た目淑やかな女。その実敏い。

毛利くん、名前の声に首を傾げる。

「自習か、貴様もなかなか善い心掛けではないか」
「う、うん。毛利くんも…?」
「現代文の復習にな」

そう、何故か苦しげに名前は笑う。どうした?声を掛ければ、濡れた瞳がこちらを見た。

「なんで、もっ」

きゅっと眉が潜められた。下唇を噛む仕草にいよいよ何事かと思う。どうした、もう一度訊ねつつ頬に触れてみた。真っ赤な頬を撫でれば、濡れた瞳から涙が流れる。あっ、そんな声に今度はこちらが眉を潜めた。

「…気分が優れないのか」
「ちが、ちがうの」
「様子がいつも以上におかしいと思うのだが」

普段なら否定する言葉にもかかわらず、名前は我の手に重心を傾けた。
ぼうっと濡れた瞳がこちらを見詰める。頬は赤い。形の好い濡れた唇は薄く開かれている。

「名前、貴様本当に」

どうかしたのか、言葉をそう続けようとしたとき、がたりと本棚の向こうから音がした。

「やれ、我は邪魔だったらしい」
「大谷」

音の主はわざとらしく本棚にぶつかり数冊の本を落とした大谷で、睨みつけるように見ればあの独特の笑い声を洩らした。

「そうねめつけるな毛利。我はただ名前に会いに来ただけよ。邪魔だったらしいが」
「何が邪魔だ。むしろさっさとこの女を引き取れ。熱っぽいぞ」
「ヒヒッ、熱っぽいだろうな」

ん、と目を細めた名前に視線を戻す。普段と違い、大谷の元へ行かないらしい。廊下の端に確認した瞬間に駆け出すような奴なのだが。
首を傾げて不審の目を大谷に向ける。にやにやと包帯越しの口が笑っているのが分かる。分かったか、口がぱくぱくとそう動いた。


「趣味が悪いな」

大谷に向けた言葉に、泣き出しそうな顔で名前がこちらを見た。

「貴様に言ったのではない。…いや」

名前も十二分に趣味が悪い。
頬に当てていた指を名前の唇に移す。数度撫でた後に口内へ親指を差し入れる。熱に口角を吊り上げた。


隅の秘密







詳しくは書くと軽く見ちゃダメぇええ!な内容になるので有耶無耶に書きました。

因みに大谷さんはずっと同じ場所にいて名前さんのこと見てましたよ、っていう。
しかし先生設定に意味はあったのか…。


 

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