[> 過呼吸 |
(科学の限界を超えてトリップ話) (色々ぶっ飛んでる) ゲームしてたらうっかり大阪城の天守閣にトリップした。 そう目の前の武将方に言えば、一人は皮肉笑いし、二人は小首を傾げ、一人は私に刃を向けた。 「貴様!嘘ならもっとましな嘘を付け!どうせ秀吉様の首を」 「待ちなよ三成くん、彼女の話も聴いてあげないと」 「しかし」 「うむ、そうだな。半兵衛の言う通りだぞ三成」 「はい、まったくもって仰有る通りです流石秀吉様!」 そんなこんなでやっと離れた刀。死ね、オープニングでときめいて使い易さと単純お馬鹿な性格に惚れたけど死ね。誰かみたく還れ、自然に! うっかり口に出しそうになった言葉を呑み込む。そんなことを言ったら確実に私は蘇我入鹿になる。首塚首塚! 「名前くん…だったよね。本当に未来から来たのかい?」 半兵衛さんの言葉に頷く。石田さんに名前呼ばれたヤッホーイ!いや、石田三成の方ではない。 「平成から来ました。ざっくり考えて四百年後の未来です」 「四百年…ふむ」 秀吉さんが顎に右手を当てて頷く。半兵衛さんがそうかと少し視線を落とした。 「なら、君は豊臣の行く末も知ってるのだね」 「はい、めつ」 めつ、まで言うと三成さんと目が合った。慌てて反らす。 「めつ?」 「すごいクライマックスだったなあ、なんて。あ、めつ…めっ滅相もない!」 「こやつの頭は大丈夫か」 大谷さんの一言に私の心は壊れた。止めて!私のライフゲージはもうゼロなのよ! 言うに言えない真実。しかも本人目の前では口が裂けても私は言わない。いや、痛い目にあいそうになったらすぐ話すけど。意志弱くない。怖いの嫌いなだけだ。 「で?」 三成さんので?に本当に心は砕けた。苛々してらっしゃるようだし言おう。史実と奴らは違うのだ。 「め、滅亡です。豊臣はなくなります」 嫌な予感に後退りしながら申せば、予感の通り、三成さんが私の首を掴んだ。 「戯れ言でもそのような事をぬかす輩は放っておけぬ。秀吉様っ!この者を斬滅する許可を!」 石田まじうぜぇくらいに考えてしまった私は、首を掴まれながらえいと何故か全力で三成さんを蹴った。私って勇者。 「貴様、殺してくれる」 「何が殺してくれるですか!聞いてきたの貴男じゃない!それ八つ当たりじゃないですか!ちなみに滅ぶ要因は貴男にもある。」 「なっ」 「そりゃ豊臣を思う気持ちも分かりますが、あれはちょっと…」 「あれって何だいあれって」 半兵衛さんの何故か楽しそうな声に返事する。何で楽しそうやねん自分、隣の秀吉さんなんてずっと泣きそうな顔してるのに。 「色々ありますよ。色々。とりあえず要領は悪かった」 「…」 三成さんに睨まれた。が、もういっそ気にしない。 「人質として奥方を集めようとしたり」 「ふん、人質として使って何が悪い」 「おかげで人望はよけいになくなりましたよ。元から人気無いに等しかったのに」 あっ、言い過ぎたかも知れない。大谷さんがさっきからずっと顔を伏せて笑ってるのを見て思った。何でここの人たちこんなに楽しそうなんだ。 「名前くん、名前くん」 半兵衛さんに呼ばれてそちらを向けば、目に涙をためて私を見ていた。涙ってまあ、笑い過ぎたときのアレだけど。 「君は本当に未来から来たようだね、今の話しで確信したよ」 「ほ、本当ですか」 「ああ。」 「半兵衛様っ」 「君、此処に居なよ。あーお腹痛い」 半兵衛さんのありがたい言葉にわーいと喜ぶ。さっきからまたお腹を抱えて笑いだしたのにはスルーだ。とりあえず横で肩を少し落としながら頷いた秀吉さんが不憫。 「主は面白いな」 大谷さんがそう仰有った。笑いながら。 「…私は部屋に帰らせていただきます」 「三成くん、城下町を彼女に案内してあげなよ」 「三成、そうしてやれ」 「それは好い」 三人にそう言われ、もの凄く嫌そうな顔で三成さんは私を見た。 「………城下町で放って来ても」 「ダメだよ三成くん。彼女はもう豊臣の一員なんだから」 「……おい、貴様」 「貴様ではありません名前です。」 「おい」 「…。」 「…名前」 「何でしょうか三成さん」 にっこーと笑いながら返事をすれば、また半兵衛さんがお腹痛いーとひいひい言った。吐血しないで下さいね。 「その南蛮の装束を改めてからなら案内してやる」 「わーい。三成さんやっさしいー。あっすみません刀は鞘に戻して下さい」 「ふん」 完全に斬滅対象になった私はこうして豊臣の一員となってしまいました。今更言えない本音は徳川の方が好きだってことです。 完全に三成舐めきってますがあくまで三成寄り。 半兵衛さんは天下統一したし自分もうすぐアレだしでテンションがハイなだけです。大谷さんは通常運行です。秀吉さん不憫。黒田さん?だれ、それ。 ←|→ |