かき集めたような労働基準法違反がすぎるブラック会社、いつでも辞めてやれるんだからなと愚痴りながらも長かった何十連勤を終えた。
喉から手が出るほど待ち望んでいたやっとの休日の前夜、頑張った自分へのご褒美としてシャワーで済ませていたバスタイム、風呂上がりは録画してあったドラマを消化しながら大好きなお酒を片手に自分を時間を楽しんだ

疲れていた身体を休めるためにベッドへ倒れこむと久しぶりのアルコールもあり、張っていた神経が緩んでゆっくりと意識が微睡みの中へ落ちていった




「ーーい、おい、起きろ!」
「んぁ...?」
「最後の高校生活だぞ、大丈夫かぁ?」
「え?....あ、はい?」
「なんだ寝惚けてんのか?しゃんとしろよ」
「あ、すいません」


....................?


え。あ、ん?
あれ?....ここどこだ

「お前が授業中に寝るなんて珍しいな」

隣に座っている爽やか系の男子に話しかけられなまえは、はあとぼんやり返事をする

ってかこの人誰?どちら様でしょうかね

ゆるりと首だけを動かして得た情報は学校の教室内で授業を受けている事のみであった

あれだ、夢だ。明晰夢ってやつ
仕事を辞めたすぎる願望が学生になるということで露わになる心理状況なのか?

悶々と考え続けるなまえの耳に懐かしい終鈴の音が聞こえ、生徒がバラバラと帰り支度をしている様が目に入った

現状を理解できないままではあるが、懐かしさから夢を楽しむなまえは起立と号令がかかったのでとりあえず立ち上がり、日直らしき1人の声に続いて帰りの挨拶を済ます。他の生徒達が教室を去って行くのをただ茫然と見ていた

教室で1人になったなまえは暫し立ち尽くした後、ゆったりと椅子へ座り込む

「ねぇ帰らないの?」

椅子に凭れかかり目の先にある白い粉の残る緑を見つめていると、底から懐かしさがこみ上げてきた

「ねえ、聞いてる?」

声は聞こえていた、けれどそれが自分に向けられたものだとは思わなかった。視界が緑色から黒色に変わった瞬間になまえは驚きからびくりと体を揺らす

「だ、れ?」
「まだ寝惚けてるの?俺だよ?」

見たことのあるその顔は授業中に話しかけてきた隣の席のやつだった

「砂糖君か、おつかれ」
「砂糖君って誰?何冗談言ってるの、帰ろ?」
「うん?」

とうとう私の夢は恋愛要素まで出してきたのか、2x歳の仕事が恋人の喪女なまえさんは色恋を求めているのか、なるほど。

「何してるの?行っちゃうよ」
「ごめんごめ〜ん」

いつの間にか教室のドアを出て廊下に立っていたイケメンに声をかけられ、夢だからとノリノリで駆け寄った

爽やかイケメンってタイプではないんだけど夢だからなんでもありなんだね

連勤お疲れ様、私

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