淹れてもらったお茶をゆっくりと嚥下すれば熱さが身体に染み渡っていく。口内から喉を通って胃へと移動する熱は張っていた気を少しホッとさせた
ふぅと一呼吸ついてから聞こうと思っていた事を口にする
「お名前を聞いても...?」
「サイタマ」
「埼玉?」
ここ埼玉県ってこと?
私、名前聞いたよね?あれ?
ここが埼玉県なら帰れない距離ではないな、うん
「お名前...」
「サイタマ」
埼玉?サイタマ?
「サイタマ...さん?」
「あぁ」
ふざけてるのかと思ったけど顔が真面目な顔、なのかな?をしているのでサイタマと呼んでみれば返事が来た
「サイタマさん」
「お?」
改めてハッキリと名前を呼べば反応してくれた。サイタマが名前なんだろう。
「私の名前はなまえです」
「なまえか」
「はい」
サイタマさんが確かめるように私の名前を呼んで、互いに自己紹介的なものができた。
「サイタマさん改めて、先程はありがとうございました」
「おう」
その場で三つ指をついて頭を下げ出すなまえに軽く返すサイタマ
顔を下げてるからわからないけどガシガシと聞こえてきたのできっと困った顔で頭を掻いてるんだろうなと思った
「その、堅苦しいのやめねえ?」
「堅苦しいですか?」
「おう」
ついでに気を使うのもやめようぜ、ムズムズするからと提案してくれた。彼は私に気を遣って言ってくれてるんだろう
「わかりました」
「敬語もさん付けもいらないしよ」
「それじゃあ....、サイタマくん?」
「くん?!」
目を見開いてびっくりした顔をするサイタマを見てなまえは気が緩んでいるのを実感する
「ダメでした?」
「いや、ダメじゃないけど俺より年下だよな」
くすりと笑った私を下から上まで見てそう言う
「成人してます」
「え?成人してんの?」
「どっからどう見ても成人し、あっ、」
サイタマくんが私を見た理由がわかった。今は彼の服をお借りしているが先程までは学制服着てたからか成人と思われていなかったのだと気付き、制服を着ていたのは怪人のせいだと軽く年齢の説明をする
「成人してるのに制服とか、辱めを受けてる気がする」
「いいじゃん、似合ってたけどな」
「恥ずかしすぎる。サイタマくんは歳いくつなの」
「25」
「じゃあ同じくらいだ」
サイタマくんが私の言葉に僅かに驚きを見せた
「何歳に見える?」
ニヤリとなまえは笑うのだ
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