ポテトフライの何が良かったのかわからないが上機嫌に鼻歌と身の軽いスキップで前を行くマントの人に置いてかれないよう小走りで追いかける
「〜♪〜♪」
「っ、はあ、はぁ、」
息が切れ出してきた。スキップってあんなに早いものだったっけ
「ん?おお、すまん」
息を切らす私に気づいた彼が立ち止まり追いつくのを待ってくれる。
乱れた呼吸を治め、ありがとうございますと一言礼を伝えると今度はゆったりとペースを合わせて横を歩いてくれた
ガサガサと揺れに合わせて聞こえるスーパーの袋の音、鈍く辺りへ反響する2人分の足音と夕陽が作る影、何気ない一つ一つは恐怖を体感したばかりの私へ安心感を与える要因だった。ゆっくり歩けば考え事をする余裕ができて、とてつもなく安心してしまった。
鼻の奥がツンと痛みを孕む。
それが合図なのか目の奥がじわじわ熱くなり頬を温かいのが伝って次々と雫が顎から落ちていく。
隣を歩く彼に気づかれたくなくて声を漏らさないように押し殺す
「っ、....んくっ...」
声になりきれなかった呻きが口の隙間から零れ落ちてヤバイと思った、泣いているのに気付かれる。急に泣き出す面倒くさい女だ迷惑だと捨てられて有難いお誘いが無しになるかもしれない、不安への対処はばれないように努める事だと必死に流れ出る涙と咽びでるシャクリを抑えつけるようしゃがみこんでしまった
「お前よく泣くな」
「んック、...ふぇ」
口から抜けたアホらしい返事を気にしてられない。泣いてるのばれたどうしよう
「ご、め、なさい」
面倒臭さいって思われた、置いてかれる捨てられる見放される
焦るなまえの目の前にほらと差し出された手。恐るおそるそっと自分の手を重ねてみた。
強い力と勢いで引っ張られてふらつく足で立ち踏ん張る、手はそのままで先ほどよりもゆっくりと歩みを進めた彼に優しく引かれて私の足はのろのろと歩みを進めた
右手に温もりと安心を感じながら廃れた街を歩く