私、鈴木真凛と鈴木入間は双子の兄妹だ。


双子であること以外はどこにでもいる普通の兄妹…と言いたいけど普通じゃない事が二つある。



一つ目は兄が重度のお人好しで、頼まれたら断れない性格のためになんでも引き受けちゃう性格である事。
自分が自分に呆れるほどのお人好しと兄は言う。そんな兄の性格に私も呆れるけど、そんなところも兄らしさだなと受け入れられるようになった。



そして二つ目は私たちの親がどうしようもないクズで非常識で規格外な事。



私たち兄妹がまだ一歳半の時にマグロ漁の餌にされたり、三歳で熊狩りに同行(もちろん餌役)、マフィアの抗争での囮にされ…思い出したらきりがないほどの仕打ちをうけてきた。理不尽すぎる。思い出したら涙が出てきそう。
そんな悪魔のような親元で育った私達だけど、兄妹で助け合ってなんとか今日も生き延びてる。



現在兄は可哀想なことにハードなマグロ漁船に乗せられており、私は森でテント暮らし中。



私も兄とマグロ漁船に乗ろうと思ってたのに、兄は優しいから「女の子は危ないから僕一人で行くよ」と言って聞かなかった。小さい頃から修羅場をくぐり抜けてきたから大丈夫なのに。
正直、一人で暮らしてたら時々不安が襲ってくる。やっぱり無理やりにでも一緒に行けば良かったな。




『一人はさみしいよ…、お兄ちゃん。』





ボソッと、誰も聞いていないからちょっとだけ弱音を吐いた。静かな空間に私の独り言は消えていく。

そう、誰もいないはずだったのに、





「では、我輩が一緒に連れて行ってやろう。」




どこからともなく声が聞こえた。




『誰ッ!?』




その瞬間、周りが真っ暗になる。そしていきなり目の前に何かが現れた。ロープで身体を拘束され売却済みという紙が貼られた。




『えっ!?売却済み!?えええーーー!?』




真っ暗な世界からおどろおどろしい木や建物がある世界に飛んだ。あまりの展開に信じられないけど、目の前の悪魔みたいな人と飛んでる状況でなんとなく

私、たぶん親に売られた。と思った。





(怖い、どうしよう。売却済ってことは一生辛いとこで働かされたりするのかな。それか食べられるかも…。涙出てきた。
お兄ちゃん、ショック受けるかな。二人で頑張って生きてきたのに最後がこれかぁ。せめてお兄ちゃんは元気で生きていられますように。神様、お願いします。)






そんなことを考えながら悪魔に連れていかれる。
これから私どうなってしまうんだろう。
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