もういい年頃になった私は、女であることを隠すため胸に布を巻いている。
その布を巻き直すためにほどいたら、何故だかその端が焦げていた。不思議に思いつつ新しい布に取り替えても、また焦げている。見た時は、新品同様の綺麗な布であったのに。
私は仕方なく適当に着物を羽織って小太郎ちゃんを呼び、事情を話した。
すると小太郎ちゃんは驚いたように目を見開いて、私に服をきせ何処かに行ってしまった。
しばらくして小太郎ちゃんが半兵衛さんをよんできて、二人に囲まれて紙を握らされたりなにやら古い本と私を見比べたりして、私はわけがわからずそれを見守っているばかりだった。
「ナマエ…驚いたよ、こんなことになるなんて」
半兵衛さんが小さく、しかし興奮を孕んだ声色で渡しに微笑む。
「君は炎の婆娑羅を持っているようだ。訓練すればそれを使いこなせるだろう」
唐突にそう言われ、私は困ってしまう。婆娑羅というものは知っていたけれど、まさか私がそうだなんて。
制御できるようになるまではこれをつけているといい、と半兵衛さんは燃えにくい素材でできた皮の手袋を私にくれ、そのまま視察に向かうことになった。
なにやら秀吉様もうれしそうで、小太郎ちゃんも心配そうながらも頭を撫でてくれたので悪いことじゃないのだろうと思う。
馬に揺られて、周りは優しい人ばかり。幸せをかみしめながら、道を歩んだ。
←BACK→