7 元服の儀

そんな日が続いたある日。

一応元服を済ませておこうか、と半兵衛さんが言い出した。表向きは男の子であるため、十五である私はそんな時期である。
私は拒否するまでもなく頷いた。小太郎ちゃんに告げようとしたけれどどこかに忍んで聞いていたのか、言う前に嬉しそうに頭を撫でられた。

「元服と言っても多分最終的にはお茶会をして宴になるだろうから、気を張らなくてもいいよ」

と言われ全く気を張らずにいたら、結構盛大な式だったので当日慌てることになった(周りからの評価は年の割に落ち着いていて、さすが竹中半兵衛が選んだ子だ、と言われていたらしい)。
初めて口にした酒は苦かったけれど、強い体質らしい私は酔うことはなかった。

「元服祝いになにか欲しいものはないのか」

上機嫌な秀吉様に言われ、みんなの目が私に向く。
ああ、考えていなかった。普通なんと言うのだろうか、石高を増やしてください、とか?正直、一部屋だけでも生きていける私にはそんなものいらないのだが。

「これからも秀吉様と父上がご健在でこの日の本が泰平であれば私はそれで嬉しゅうございます」

私の返答にざわりと場がざわめき、あっぱれ、さすがという声が聞こえた。
それで、ああ答えは間違っていなかったのだなと安心するも、中には秀吉様に媚を売ってといい顔をしない人がいるのも知っていた。
まあ、そんなもんだろう。突然現れて元服前から高い位についた私をやっかむ人がいなかったら逆にびっくりだ。
小太郎ちゃんがちょっと心配そうに私を見てきたけれど、そちらに向かって微笑んでおく。ああいう妬みの類は無視に限る。

これからも豊臣に尽くせと秀吉様が笑顔で言い、会はお開きになった。晴れて私は大人である。

「ナマエ、おめでとう。僕も鼻が高いよ」

そう言って頭をポンポンと撫でてくれる半兵衛さんに笑い返しながら、私は全く別のことを考えていた。今日から秀吉様が行く予定の視察のことだった。

「半兵衛さん、私秀吉様についていっちゃだめですか」
「ナマエも視察にいってみたいの?」

私が頷くと、わかったよと微笑んでくれる。急なわがままだけれど、久しぶりに外に出て歩きたい気分だった。
城にいるとすべてが中で片付いてしまうためなかなか外に出ることはない。

ナマエがいるなら風魔もくるだろうし、護衛はいらないかなと呟く半兵衛さんにそうですねと相槌を打って、私は外に行く着替えをするために自室に戻った。


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