6 穏やかな日々

「小太郎ちゃーん」

小太郎ちゃんは私の仕事を手伝ってくれて、専らゆっくり話すことができるのは仕事が終わり半兵衛さんと秀吉様が私をやっと手放した真夜中だ。

話すと言っても私が一方的にその日あったことを小太郎ちゃんに伝え、小太郎ちゃんはそれを微笑みながら、たまに吹き出しながら聞いてくれるだけなのだけれど。秀吉様に両手に余るほどもらった珍しい甘味を二人で味わいながら、季節を愛でたりなんかしちゃう、そんな時間が一番落ち着いたりする。

「いい夜だね、小太郎ちゃん」

小太郎ちゃんは私が寝るまで枕元で私の髪を梳いてくれ、私がまどろみ始めると寒くないように布団をかけてくれる。

小太郎ちゃんは私が執務室にこもっている時や、半兵衛さん、秀吉様と一緒にいる間は、豊臣の仕事を請け負って忍びの活動をすることがあるものの、大抵は私のそばに控えているようだ。なんとなく小太郎ちゃんの気配を感じることが多々ある。
心配性の小太郎ちゃんは、豊臣の城にいる時でさえ安全を信じてはくれないらしい。困ったものだ。

もともと今までその時々で仕事を請け負っていた小太郎ちゃんは今は豊臣(というか、私)に仕えていることになっているので、何かがない限りはここにいられるようだ。

忙しくいろいろな場所を飛び回っていた頃と比べるとまったりした時間を二人で過ごせている気がする。実の家族である秀吉様と半兵衛さんと出会え、毎日を過ごせているけれど、一番気が休まるのはやはり小太郎ちゃんの隣なのだった。

豊臣暮らしも悪くない、そう思い始めた日だった。


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