《 三成視点 》
※男色表現少しあり
私は預けられた寺で廊下を雑巾掛けしていた。
今日は織田信長のあと天下をとるのではないかと噂される豊臣秀吉が訪れるらしく、寺の掃除に朝から賑わっていた。私は少し奥まった、一目につかない部屋の前の廊下を申しつけらられ、こうして一人で黙々とこなしている。
この年で十三になる私だが、なかなか背も伸びず体はひょろひょろと細い。
そのせいかからかわれることも多く、いつも一人で仕事を命じられた。そのことを不服に思うことはないが、少し悔しくはある。
何往復目かしたところで少し腰を休めようと雑巾を水に浸していると、廊下に面した障子の内から坊主たちの下世話な会話が聞こえた。
ふんと鼻を鳴らすと、それは中に聞こえたようで障子がぴしゃりと開け放たれる。
「なんだ、あの頭のお切れになる佐吉殿ではありませぬか」
揶揄るように言われサッと顔に朱がはいるが、間髪入れず言い返そうとすると、突然腕を引かれて部屋に連れ込まれた。
「なにをする!」
「なにを、とは…。ご聡明な佐吉殿にもわからぬことは、私どもでもわかりませんなあ」
中にいた数名が下卑た笑いを浮かべ、私を抑え込むのに加わった。私はそれを睨みつけ抵抗したが、多勢に無勢、そして体格差により簡単に両手首をまとめられ猿轡をはめられてしまう。
「黙ってりゃァ顔は綺麗なんだけどなあ」
ははは、と笑いが飛び、私の着物がはだけられる。ここまできて、悟らずにはいられなかった。私はこの坊主たちに陵辱されるのだ。
「ふ、…っ、や」
声を出そうにも口に含まされた布が声を吸うばかりで、私は簡単に転がされてしまう。
それどころかうるさくするなと頬を張られ、口の中に鉄の味が広がる。
坊主たちの手が体をまさぐり、ああ私はこんなところで嬲られ辱められるのだと目に熱いものが溢れた時だった。
「欲に塗れた坊主たちに救いはあるのかい」
障子がスパァンと小気味良い音を立てて、暗がりな部屋に昼下がりの光が零れ入る。
私は坊主たちにはだけられた自分の服もそのままに、呆然としながらそれを見つめることしかできなかった。
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