「ん?」
手をぶんぶんしながら首をかしげ、テニスで鍛え上げた握力で半ば締め上げるように握る。(多分)大谷吉継さんは呆気に取られたように私を見つめ、されるがままだ。
あれ、おかしいな。もっと警戒心の強い人だと勝手に思っていたのだけれど。
「あ、私は間者とか忍びとかあなたの敵の刺客とかじゃないですよ。私の名前はナマエです。24歳の独り身です。好きなものは酒と枝豆です!
あなたのことは大谷さんとよんでいいですか!」
「あ…あい、わかった…」
え、ちょっと引いてません?大谷さん、引いてません?
「ナマエ、とやら、ここはどこぞ。ぬしは己を間者でないと申すが、我を攫ったのはぬしであろ」
周りを見回し首を傾げる大谷さんの破壊力な。可愛すぎるよこの野郎。嫁にくry。
「ここは私の家です、
あの、非常に申し上げにくいことなんですが…」
私は言葉を切る。うん、言いにくいっつーか説明しにくい。
「ここ多分、あなたがいままで過ごしてきた世界とは違います」
「は?」