1 干物女のススメ

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「ふわぁーい」

楽ちんなジャージの短パンにTシャツで、ぐったりとソファに寝そべる。前髪をヘアゴムでひとくくりにして家用の黒縁メガネをかけた姿は、とてもじゃないけど人様に見せられたもんじゃない。

まさに干物女子ナマエ、24歳。彼氏いない歴片手で数えられません。

ビール片手に天井を見上げながら、一人で悪酔いしてゲームするのが最近の夜の過ごし方。元々の歴史好きもあいまって、戦国BASARAには随分入れ込んでいる。

LINEもFacebookのメッセージも返すのが億劫で、ゲームに逃げてる状態。やる気がでないのだ。様になってきたOL生活もなんだかうまくいかなくて失敗ばかり。職場の人には苦笑されてお叱りの言葉を受ける。恋人のこの文字すらない干からびた生活に慣れて早数年、笑がこぼれてくる。
ビール缶にこつんと額をぶつけて、ため息一つ。

「刑部ちゃんとか三成ちゃんがいたらなあ、」

なんてね。
いたからってどうなるんだろう。
でも、あんな人たちのように一つのものに必死になることができたらなあ。

そんなことを考えて、考えの馬鹿らしさに失笑していると。突然の雷が響いて思わず体を震わせ目をつむった。
と、その瞬間。突然部屋が揺れ体勢を崩す。

「ぐえっ、」

女子が出す声じゃない悲鳴をあげて机に突っ伏すと。

「へ、?」

目の前に変なものがある。球体だ、丸い、これはまるで。

「刑部ちゃんの、数珠みたい…」

そう呟いたあと、それはまっすぐ容赦なく私の額にクリーンヒットし、私は呆気なく意識を手放した。

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