「風丸さん、子猫!」
買い物帰りに寄った公園で、宮坂が拾って来たのは汚い箱だった。見てみれば、薄汚れた布と斑模様の…猫。可愛いです!なんてはしゃいでいる宮坂に戻してこいだなんて事は言えず、頭を抱える。

「おっ、風丸!」

聞き覚えのある声がして顔を上げれば、救世主と思えなくもない奴がいた。

「…真刃」

「なんだよ暗いなー…お、宮坂それ」

「速水先輩!見てください、猫!」

「可愛いな!飼うのか?」

「…それは、えーと…」
ちらりと横目で俺を見た宮坂の言いたいことはすぐにわかった。だからこそ知らないふりをつき通して、あくまで自然に目をそらす。…動物は苦手なんだ…

「風丸さん…あの、飼えない…ですか…?」
あああお願いだからそんな目で見ないでくれ。泣きそうだ。

「…ま、真刃」
頼んだ、救世主。俺の人生はお前にかかってる…!

「あー、俺んちペット不可なんだわ」
すまなそうにいう真刃に裏があるとは思えない。こいつ昔から嘘つけないんだよな、…しかたがない

「いいよ宮坂、連れて帰ろう」
「ありがとうございます!」
人生諦めが肝心だと思う。それに、隣で猫を抱きしめて名前を考えている宮坂には、駄目だと言っても意味がないと思った。
01:猫は苦手