「…貴方は」

貴方は、サッカーが大好きなんですね。精一杯放った言葉は今にも消えそうなほどで僕は弱いんだと思い知らされた気がした。
「ああ、もちろん!お前もやってみるか?」


特訓中無理矢理に呼び出した僕に嫌な顔せず太陽のように微笑んだこの人に風丸さんがついていくのも仕方がないな、と思った。僕がいくら頑張っても、この人には勝てるわけがない。だってこんなにも僕とこの人には差が有るんだから。風丸さんとこの人は幼なじみだ。その時点でこの人たちは僕にはもう手が届かない関係だったのに。僕はなんて高望みしてしまったんだろう。全てわかっていたのに。

「僕は、いいんです」

そうか、と言いながらちらちらといまやほぼサッカー部のものとなっているグラウンドを見ているこの人は、僕にとってもっとも敵対している人だ(と思っているのは僕だけだけど)。

「風丸さんは元気ですか」

それをあえて引き留めるように質問を繰り返す。このくらいの意地悪、いや嫌がらせならまだ風丸さんも許してくれるだろう。それでもう僕は諦めます、というよりは諦めざるをえないので最後に少しくらいは邪魔させてください…

「あ、ああ風丸は凄くいい動きをしてくれて、今のイナズマジャパンには必要不可欠ないい戦力だ!」

屈託の無い笑みを浮かべて言われたその言葉は、今の僕にとっては只の皮肉にしか聞こえなかった。ああ風丸さんはこんな汚い僕でもまた見てくれるかな。諦めたはずの感情は蕀のように僕にまとわりついて離れない。

「宮、坂…?」

「…なんでもないんです」

無理だと思った

きっともう見てくれない