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薄暗い談話室。それは地下にある所為でもあるし、上が湖だからでもある。しかし私が座るソファの前には暖炉が煌々と光り、サイドテーブルにも柔らかなランプが灯る。そんな中私は先日セブルスに借りた本を読み耽っていた。周りが見えないくらいに世界に引きずり込まれて、隣に後輩のレギュラスが座ったことなど気付きもしなかった。


「どうぞ」


カチャリと置かれたティーカップにこじゃれたソーサー。ゆるゆると湯気が立つそれはレギュラスが淹れたものだと分かる。


「あ。ありがとうレギュラス」
「たまたまです。僕もこうして読書に勤しもうと思ってましたから」
「そう?」


今日はホグズミード村に行ける日と重なっていた為か、談話室は静かで読書には打って付けかもしれない。


「first先輩はホグズミードに行かなかったんですね」
「うん、今日は身の回りのことをしたかったから」


それも早々に終わり、こうして本を読んでいるんだけれど。とぼんやりと思いながらレギュラスが淹れてくれた紅茶を口に運ぶ。


「あつっ!」
「す、すみません。大丈夫ですか!?」
「ちょっとびっくりしただけ平気平気」


ぼにゃりと無意識のままに紅茶を口に含もうとしたのがいけなかった。余りの熱さに思わず声が出てしまった。レギュラスはしゅんとしてこちらを見るものだから、平気と笑って見せた時だった。


「大丈夫な訳あるか」
「セブルス…」
「唇が赤くなってるではないか」
「これは元々だよ」
「そうは思えんが?よく見せてみろ」


バタンと扉を閉める音が男子寮の方から聞こえたと同時に現れたセブルスにギクリ、と強張った。レギュラスは益々しゅんとしてしまっている。


「兎に角平気だから!レギュラスもそんな顔しないで、ね?」
「軟膏を用意しようか?」
「セブルスもありがとう、でも本当に大丈夫だから」


2人共大袈裟過ぎるよ、と和ませるようにへにゃっと笑うとセブルスが鼻で笑ったのが分かった。


「と、ところでセブルスは何か用事があって出てきたんじゃないの?」
「ああ図書館に行こうかとな」
「いいね!よしレギュラス、セブルスにくっ付いてこう」


分かりました、と柔らかく微笑んだレギュラスを確認してからセブルスの背中を押して談話室の出入り口に向かった。それに倣って私の背中に控えめに手を押し当てるレギュラスが可愛らしい。


「な、何故僕を押す!」
「いいからいいから。ね、レギュラス」
「はい」


3つが縦に列をなして進む姿は滑稽であったかもしれないが、そんな何気ない日常が至極幸せに感じた。



10.7.4
スリザリン組も仲良しだったらいいな。
(なむあみだ様提出)

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