ぽかぽか、そよそよ、小鳥の囀りが聞こえる穏やかな春の小春日和。それはとても気持ちが良いもので、私はレギュラスブラックを外に誘った。
インドアな彼は嫌がるのでは?と思っていたが、それはどうやら杞憂のようで彼はこうして青空の下にいる。似合わない、だなんて言おうものなら機嫌を損ねてしまうだろうから口を噤む。
湖畔に乱立する木々の下、彼は自然に目を向けることなく読書に勤しむ。同じ空間にいるというのにてんでバラバラで、小さく溜め息を吐く。
「…何か?」
「うわっびっくりした!」
レギュラスも喋るんだ、と毒づけば生きてますからといった間抜けな返事が返ってくる。
「同じ空間にいるのに、何かバラバラだなぁって」
「?」
「レギュラスは読書読書で私のことはほったらかしだし」
「本持ってくれば良かったのに…」
そういう訳じゃないっ!とそっぽを向けば、彼もまた小さく溜め息を吐いた。
「何よぅ」
「じゃあ…」
じとっとレギュラスブラックの溜め息に反応するが、彼はそれをどうすることもなく受け流して私の手首を少し強引に掴んだ。
「な、に、?」
「じっとして」
蛙が潰れたような悲鳴があがりそうになって慌てて口を抑える。レギュラスブラックはそんな私を下から仰ぎ見て、小さく笑う。
「…レギュラス」
「役目が出来て良かったでしょう?」
「役目って、膝枕…」
「退屈しないでしょう?」
確かに退屈はしない。むしろ心臓が五月蝿くて落ち着かない。
レギュラスブラックは気にする素振りも見せずにページを捲る。そのページを捲る音と小鳥の囀りだけが耳に入ってくるような気がして、目をぎゅっと瞑った。
「顔赤いですよ?」
11.3.27
葵さんリクエスト
レギュラスで膝枕でほのぼの。