さっき喋ってた子だぁれ?ねぇ私のこと好き?ねぇねぇねぇ!
女の子がこんな風に言ってくれるのは彼氏冥利に尽きる、と言えるのではないだろうか。しかし私たちは見事に逆転していた。というより彼氏でもなければ恋人同士でもないのだが。
「さっき話していた男は誰ですか」
「スティーブスティング、レイブンクロー五年、クィディッチのビーター。これでご満足?」
「えぇありがとうございます」
「変態」
スリザリン寮の談話室で寛ぐ私にレギュラスはすかさず寄ってくると、私の隣に居座った。いつだったか、レギュラスは私のことを何もかも知りたいと宣言したことがあった。それも他の生徒がいる前で。レギュラスは束縛や嫉妬心にまみれたその唇をにやりと歪ませた。
「最高の誉め言葉ですよ」
「うわ…」
正に鳥肌もの。体に電流が走ったかのように身震いしたそれは所謂悪寒。ちなみに私firstfamilyとレギュラスブラックは恋人同士ではない。断じて。レギュラスはどう考えているかは分からないが。
「あのさぁ」
「なんですか?」
嬉々とした顔でこちらを見るレギュラスに不本意ながらどきりとした。
「なんでそんなに私のことを知りたがるの?」
「好きな人のことを知りたいのは当然のことでしょう?」
例えば好きな食べ物嫌いな食べ物好きな教科嫌いな教科好きなタイプ嫌いなタイプ、毎朝6時15分に決まって起床すること、まずベッドで大きな伸びをしてから顔を洗いに行くこと、大広間で席に着いたら温かい紅茶を最初に口に含むこと、夜バスルームでまず腕から洗い始めることなどエトセトラエトセトラ。知っておきたいのは当然だと言わんばかりにペラペラと口を滑らせるレギュラスにぞくぞくした。もちろん悪い意味だ。
「ってなんで朝とか夜のお風呂のこと知ってるのよ!」
「僕を誰だと思ってるんです?」
レギュラスはまた厭らしく、そして艶かしく口を歪めて言った。そして私は言うのだ、臆することなく変態と。
10.11.19
美玲さんリクエスト
レギュラスで変態。