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平等に、分け隔てなく優しいfirstはグリフィンドール寮となった今も変わらない。昔からずっとfirstは変わらない。でも隣に兄さんは居ない。そこは昔と違い変わっていってしまった。


「レギュラス?」


そよそよと風が頬を撫でる。それは全く不快ではなく、むしろ心地よく午後のゆったりとした時間に似合っていた。ホグワーツ城内にある木陰に座って束の間の一時を楽しむ。そうでもしなければ、グリフィンドール生とスリザリン生が一緒になることはまずない。ましてや学年が違うのだから。


「ねぇ兄さんは?」
「シリウスは今頃ジェームズ達と悪戯の真っ最中じゃないかな?」
「そう」
「セブルスを目の敵にするのはどうかと思うけどね」


兄さん達と一緒に同寮の先輩の姿が思い浮かんだが、すぐに視線をfirstに戻す。


「?どうしたの?」
「いや、昔は…は3人一緒だったなって」


firstの瞳が揺らいだのが見て取れて、思わず顔を空に向けた。しかし澄み切った空が視界に広がった瞬間何故だか胸が苦しくなって咄嗟に目を閉じた。


「ずっとはいられないよ?」
「…知ってる」
「でも…」


firstはそこで口を噤んだ。いつまでも経っても続きが聞こえてこないものだから、僕はすっと目を開きfirstのいる方へと顔を向けた。しかしそこにfirstは居ない。


「…レギュラス」
「えっ」


ぎゅうっとfirstは僕を背後から包み込んだ。不意打ちを突かれた際に発せられた自分自身の戸惑いの声に驚いた。firstは細い腕のどこにこんな力があるんだろうと思えるぐらいに、力強く僕を抱き締められていた。


「first…?」
「でも、ね」
「うん…」
「それでも私は」


レギュラスの傍にいるからね。震える声ではあったがそれは僕の背中越しに確かに聞こえた。ドキンと高鳴った心臓の鼓動が聞こえてしまうかもしれない。じんわりとした熱が体にほとばしる。


「だから心配しなくていいんだからね」


僕はそっとfirstの手に自らの手を重ねた。僕達に言葉はいらない。



10.11.19
慧兎さん
レギュラスでシリウスと同い年幼なじみグリフィンドール生なヒロイン。

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