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なまえブラックは、スリザリンの監督生であり首席だというのにグリフィンドールやマグルに肩入れする変わった奴だ。なのにスリザリンでもそれなりの地位を築き誰からも好かれているというのが不思議だ。ブラックの血を引く名家の令嬢だというのも驚く。母上も快く思っているのが不可解だ。僕を何かと子供扱いするところは不愉快だ。そんなことをふつふつと考えながら図書館で僕はスネイプのレポートを完成に向かわせていた。
口に出して噂していた訳じゃないのに、そいつは急に現れた。


「うわぁ!」
「ドラコ、図書館では静かにしないとマダムに怒られてしまうよ」


マダムは怒るとフィルチより怖いよ?くすりと笑いだからなまえは小声で咎め僕の隣に座り、目の前のランプに杖を取り出し明かりを灯した。


「なんで…」
「私もいもりの試験勉強に来たんだ」
「いもり?」
「そ、NEWT。来年の6月にあるんだ。これがダメだと卒業出来ないんだよ?大変だろ?」


からから笑う姿を見る限りあまり大変そうには見えなかった。


「そうそう、5年生になったらドラコもふくろうを受けないといけないだからね」
「ふくろう…」
「普通魔法レベル試験、これも大変だよ?今からしっかり勉強すれば大丈夫だろう」


そこまで言うとなまえは黙りこくって、分厚い本を広げた。ちらりと何度か覗いたがそれはさっぱり分からない高等魔法だった。


「ドラコも読むかい?」
「えっ」
「興味深々って感じで見てくるから」
「べ、別に」
「そう?習得したら教えてあげようか」


にっ、と笑った時に白い歯が見えて少しドキリとした。それを悟られないように僕はスネイプのレポートに打ち込んだ。
もう終わり、という時久しぶりになまえを見たら何時もの飄々とした表現からは考えられないくらい真剣でそのギャップに驚いた。その表現に動けなくて魅入った。するとなまえは、一度も僕の方を見ていないのになんだい?と問い掛けて来た。


「なんで…?」
「ん?さすがに気付くよ。そんなに熱い視線を送られたらさ」
「送ってない!」
「いーや、送ってたね。本当にドラコは可愛いなぁ」


なまえが躊躇いなく僕の頭を撫でたから、僕のプラチナブロンドは見事に崩れた。


「ごめん、ごめん。そろそろ夕食の時間かな?今日は何だろうね」


僕はその言葉に慌ててレポートに羽根ペンを走らせた。なまえといると調子が狂う。


「そんなに慌てなくても待っているよ?ほら、スペルミス。スネイプはスペルミスに煩いんだ」


なまえの僕にはないその余裕が悔しい。


「よし、よく出来てるよ」
「ありがとう、ございました」
「それはスネイプに言うといい」


またくすりと笑われた。なまえは正に一生かないそうに相手だ。まだホグワーツに来て数日だというのにそれはひしひしと感じられた。
そして図書館を後にした。



10.1.25
(10.2.3up)
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