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「君はどこの猫ちゃんかな?」


茶色くしゃくしゃな、たわしのような、それでいて愛嬌のある猫を廊下で見掛けた。


「うーん、きっと飼い主が探しているよ?スリザリンでは見掛けない顔だから他の寮から抜け出して来たのかな?」


しゃがんで手を差し出すとその猫は喉を鳴らしながらやってきた。きっと今日の魔法薬学で木天蓼を使ったからだ。


「よし、探してあげようじゃないか」


抱き上げても一切抵抗せずにその猫は大人しく喉を鳴らしていた。猫に時々返ってこない声を掛けながら、特に目的もなく廊下を歩いた。もし飼い主が探していればきっとどこかの廊下で出会うだろうと思ったからだ。まぁ飼い主が探していなければ元も子もないが。


「お、悪戯双子の片割れジョージじゃないか。珍しいなフレッドと一緒じゃないなんて」
「やぁなまえ、どうしたんだい?クルックシャンクスなんか抱いて」
「クルックシャンクス?」
「そのふてぶてしい猫の名前さ」
「ジョージは知ってるんだ?この猫の飼い主を」
「あぁ、えー…ほら!来た来た」


ジョージはそこまでいうとひらひらと手を振りいなくなった。
そしてジョージが角を曲がったと同時にその声は聞こえた。


「クルックシャンクス!」


ちょっと待ってよハーマイオニー、と女の子を追ってくる男の子が2人。


「クルックシャンクスはハーマイオニーの猫なんだね」
「あ、ありがとうございます。何で私の名前を?」
「ほら」


後ろを駈けてくる2人を指差せばハーマイオニーは頬を赤くした。


「2人共、静かになさい!」
「だって」
「まったく!」
「うげ、スリザリン…!」


赤毛の男の子とくしゃくしゃの黒髪の男の子の目が鋭くなった気がした。スリザリンだけでなく侮蔑意識は根強いようだ。


「2人共、この人はいい人だわ!」
「なんでそんなことが分かるんだい?!」
「だってクルックシャンクスを見付けてくれたし、何よりそのクルックシャンクスがこんなにも懐くなんて…」


確かにクルックシャンクスは今もなお私の足にすり寄っている。


「君のその赤毛はウィーズリー家だね?それに君はハリーポッターだ」


まさかこうやって会えるなんてね。手を差し出すと2人はバツが悪そうな顔をした。私の手をさっと握ったのはハーマイオニーだった。


「先輩ありがとうございました!クルックシャンクスを探していたんです」
「お役に立てたなら光栄だよ、それじゃあまた…ね」


3人がぺこりと頭を下げるのを見てから手を振って別れた。先程ジョージが曲がった角を曲がる。


「わっ!ドラコ!」
「…」


曲がったと同時にそこに立っていたドラコと鉢合わせをし、さすがにこれにはびっくりした。


「どうしたんだい?こんなとこで」
「…ポッター、ポッターと仲良くしないで…下さい」
「ふふっ考えておく」


昔の自分を見ているようで微笑ましい。


「手、繋ぐかい?」
「いいっ!」
「私は寮に戻るけど、ドラコは?」
「僕も、寮に」
「ん、じゃあ帰ろう」


そして、今までとはまた違った経路で色々な話をしながら寮に帰った。



10.1.23
(10.1.31up)
※原作ではクルックシャンクスはハーマーオニーが3年の時に飼い始めるのですが、作中では1年時から登場しております。捏造に深い意味はございません。
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