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「リリー!次のホグズミード僕と行かないかい?!」


高らかに言い放ち、撃沈するジェームズを見て俺もなまえを誘ってみよう。そう考えて早速俺はなまえを探した。
いざ会いたい時は見つからず、俺は撃沈し沈み込んでるジェームズから巧みに忍びの地図を手に入れた。なまえの名前はすぐに見つけることが出来て、中庭に向かった。


「ようなまえ」
「あ、シリウス」


読書をしていたのかなまえは膝に本を置いていた。


「どうしたの?」
「なまえを探していたんだ」
「え?」


尻のポケットに突っ込んだ忍びの地図がくしゃりと悲鳴をあげた。


「あの、さ次のホグズミード一緒に行かないか?」


言い切ってなまえの表情を窺おうと顔をあげるとなまえは気まずい表情だった。


「あの、私」
「え?」
「リリーと行く約束があるからっ!」


なまえの頬は赤みがかっていて恥ずかしそうに走って行ってしまった。ジェームズの二の舞で思わず茫然とし、しばらく動くことが出来なかった。

「シリウスも仲間か」
「うるせー」
「またいつものメンバーだね」


自室に戻って来た。撃沈したジェームズはまだ沈んだように暗くそう言った。


「まあこの気持ちはゾンコの悪戯専門店で発散しようじゃないか!」
「立ち直るの早すぎ」


ベッドに伏せてた顔をガバッと上げたジェームズの顔は輝いていた。

その日…ホグズミードに行く日、ジェームズはリリーのことを思い出すまいといっぱいいっぱいのようだった。
表には出さないようにしているのが丸分かりで少し不憫だった。


「相棒、ほらゾンコが見えてきた」
「おっ本当だ!」


ジェームズは店先まで走った、がドアを開けようとはせずに突っ立ったままですぐに追い付いた。


「おい、どうし…」


店は見事に大繁盛、人で溢れかえっていて店に入るのも出るのも一苦労なのはすぐに分かった。ちらりと店のショーウィンドウは黒と橙でいっぱいで、そうかハロウィンが近いせいかと結論付けた。


「僕は行くぞっ!」
「お、おいジェームズ」
「買い物でもしなきゃやってられないよ!」

ショッピングでストレスを発散させる女性のようなセリフを吐き、ジェームズはゾンコの悪戯専門店に突撃した。
さすがに行く気にはなれなくて、広場の噴水前のベンチに腰掛けることにした。


「あら、ブラックじゃない」
「エヴァンズ…」
「ポッターと一緒じゃないのね」
「まあな、そっちこそなまえはどうしたんだよ」


エヴァンズは何も答えず視線を後ろに向けた。エヴァンズと同じように両手に紙袋の抱えた女の子はなまえに違いなかった。


「あっシリウス」
「なまえ何買ったらそんなに、ちょ俺が持つから!」


なまえの返事も聞かずに紙袋を手に取った。重くはないが大きいそれはなまえの腕ではいっぱいいっぱいのように感じたが俺が持つとそうでもなかった。


「なまえ良かったじゃない、荷物持ちが現れて」
「え、え悪いよシリウス」
「私も荷物持ちを見付けに行くわ、また後で部屋で会いましょ」


ぱちんと綺麗なウインクをなまえに送るとエヴァンズはゾンコの悪戯専門店がある方へ歩いて行った。ジェームズが悪戯専門店にいるだなんて一言も言ってないのに意外と2人はぴったりなんじゃないかとふと思った。

「シリウスごめんなさい持たせてしまって」
「いや、いいんだ女の子はんなこと気にすんな」
「でも」
「こういうのは男の仕事だ」


笑って見せるとなまえはありがとうと照れたように言って、千載一遇のチャンスと相俟って胸が高鳴った。


「じゃあお礼にバタービールをご馳走するわ」
「さんきゅ」


マダムロスメルタよりも魅力的ななまえに日に日に惹かれていってると他人ごとのように思いながらも俺はなまえの隣を歩く。



09.11.04
(09.11.15up)
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